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マルパの生涯(11)

 その後マルパは、心の中で密かにこう思いました。

「わたしは約12年間、ネパールとインドで過ごした。そしてアビシェーカと口頭の教えを受けただけではなく、その言葉と意味の両方を学び、修行した。それゆえ、わたしに後悔はない。他の人の解釈や瞑想をしのごうとする必要もない。
 今や金をほとんど使ってしまったから、しばらくチベットに帰ってできるだけ金を集めよう。それからまたインドに帰って来て、それをグルに供養して喜んでいただこう。以前に得た教えをもう一度グルと共に徹底的に見直して、それから以前受けなかった教えはどんなものでも手に入れよう。
 一般的にはわたしはどんなことをしてもチベットにブッダの教えを広め、特別には実践の系統の教えを広めなければならない。」
 
 それから彼は、残りの金を使って必要な食料を集めた後、旅費として必要なだけを取っておきました。
 ブラフマン・スカマティとヨーギニー・スカダリーその他を呼び出して、マルパは、マハーパンディタ・ナーローパへの感謝と祝いのガナチャクラを供養しました。その祝宴の最中、彼は心の中でこうつぶやきました。

「わたしはチベットからインドへやって来て、目的を果たし、学識がある多くの師や、成就を得た師に会った。わたしは多くのタントラを、その解説と共に得た。わたしは必要な言語を知る学識ある翻訳者の典型となった。誤謬なき経験と悟りが、わたしの中に起こった。今わたしは何の障害もなくチベットに帰ろうとしている。今日以上に幸せな日はない。」

 それからマルパは、栄光あるナーローパへの八つの雄大な歌の一番初めの長い歌を、タンブーラのような低い単調な歌声で歌いました。これはマルパが彼の悟りを供養した歌です。

 主よ、真実の、高貴なるグルよ!
 以前の修行によって積んだ功徳によって
 あなたは、ニルマーナカーヤ・ティローパ本人に会われました。
 捨てることの難しい存在の苦しみを
 12の試練を通してはねのけました。
 苦行によって、あなたは瞬く間に真理をご覧になりました。
 わたしはあなたの御足に礼拝いたします。シュリー・ジュニャーナシッディよ。

 翻訳者であり、チベットから来た未熟者であるわたしは、
 以前の修行がもたらす縁によって
 マハーパンディタ・ナーローパ、あなたに会いました。
 わたしは、その深遠さで知られるヘーヴァジュラ・タントラを学びました。
 あなたは、精髄、マハーマーヤーをくださいました。
 わたしは、内なる精髄、チャクラサンヴァラを受け取りました。
 全般的には、四つの階級のタントラの内なる精髄を抽出しました。
 母スバギニーによって与えられるように、
 その祝福の河が流れ続けるように、
 あなたは四つのアビシェーカをわたしに伝授されました。
 わたしはけがれなきサマーディを生み、
 七日間で、それに対する自信を確立しました。
 太陽と月、生命力と下降は、
 静寂とした空間の家に閉じ込められ、
 おのずから存在する同時存在の経験――
 至福、輝き、そして無思考が、わたしのハートから生じました。
 習慣的な睡眠の迷妄は、
 輝きの道の性質として理解されました。
 執着と固定化という両方の心の働きは、
 ダルマカーヤの中の単純さの中へと溶解しました。
 幻のようなからくりである外的な現われは、
 生まれることのないマハームドラーとして理解されました。
 内側の固定化、この心の意識は、
 古い友に会うように
 それ自体の本性を理解しました。
 しゃべれない者が見た夢のように、
 表現できない経験が生じました。
 少女が経験したエクスタシーのように、
 表現できない意味が理解されました。
 主ナーローパ、あなたは大変優しいお方です。
 以前、あなたは祝福とアビシェーカを授けてくださいました。
 どうか、あなたの思いやりで
 引き続きわたしを受け入れてください。

 マルパはこのように、自分の悟りを供養しました。
 マハーパンディタ・ナーローパは、マルパの頭の上に手を置いて、この口頭の教えをあらわす歌を歌いました。

 チベットからやってきた翻訳者、マルパよ。
 八つの世俗の法を、お前の人生のゴールとしてはならない。
 自と他という偏見を生じさせてはならない。
 友や敵を非難してはならない。
 他人のやり方を曲解してはならない。
 学ぶこと・熟考することは、暗闇を照らし出す灯火である。
 解放の最高の道で、待ち伏せをくらってはならない。
 以前、我々は、グルと弟子であった。
 未来においても、この関係を保ちなさい。
 これを手放してはならない。
 このお前の心の貴重な宝を
 愚者のように川に投げ捨ててはならない。
 心が散漫にならないように注意して、
 これを大切に守りなさい。
 そうするならばお前は、
 すべての必要と望みと目的を達成するだろう。

 ナーローパは多くの思いやりのある言葉を語り、マルパは大いに喜びました。マルパはナーローパと再会するために戻ってくることを誓い、チベットへと旅立ったのでした。

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