グル・リンポチェ(大聖パドマサンバヴァ)(12)
◎グル・リンポチェのチベットの25人の家臣(弟子)たち
1.ヌプチェン・サンギェー・イェシェーは、タク渓谷で生まれました。彼は7歳の時からウーテン・パルキ・ショヌに学問を学び、タントラの達人になりました。
グル・リンポチェから八つのマントラの偉大なサーダナのアビシェーカを受けたとき、ヌプチェン・サンギェー・イェシェーが投げた花は、【怒れるマンジュシュリー】であるヤマーンタカのマンダラの上に落ちました。そして21日間の修行のあと、彼は神々の純粋なヴィジョンを見ました。
彼は神通力でタク渓谷の37の村を破壊し、神秘的な火を使って武力を焼き尽くしました。タク・ヤンゾン渓谷では、泥に穴を開けるように、木製のキーラで岩に穴を開けました。
ヌプチェンはインド、ネパール、ターシャ(中央アジア)を七回訪ね、シュリーシンハ、ヴィマラミトラ、シャーンティガルバ、ダーナシーラ、ヴァスダラとチェツェン・キェーから教えを受けました。またチベットでは、ニャク・ジュニャーナクマーラやソクポ・パルキ・イエシェー、シャン・ギャルウェ・ヨンテンから様々な教えを受けました。こうして、マハーヨーガ、アヌヨーガ、アティヨーガのサムデのタントラの伝達が彼に集まりました。
あるとき、チベットでダルマを荒廃させていた邪悪なランダルマ王がヌプチェンとその弟子たちを呼び出し、「どんな種類の力をお前は持っているのか?」と尋ねました。ヌプチェンは、「では、マントラ暗唱から私の力をご観察ください」と言い、強い身振りで自分の頭上に手をあげました。王はヌプチェンの頭上にヤクのサイズほどある巨大な9匹のサソリを見、叫び声をあげて怯え、「ヌプチェンよ、今後私は、貴いタントラ行者たちを阻害しない」と言いました。
ヌプチェンはさらに、「どうかこれも見てください」と言い、激しい身振りで岩を指差しました。すると猛烈な稲光が落ち、岩が粉々に砕けました。恐ろしくなった王は、「今後、お前とお前の信奉者たちに危害を加えない」と約束し、ヌプチェンを解放しました。
こうして、タントラ行者やヌプチェンの信奉者たちは、ヌプチェンのおかげで、ランダルマ王による迫害を免れたのでした。
ヌプチェンは、「タントラの三大受取人」と呼ばれる者たちのうちの二番目の人物で、マハーヨーガ、アヌヨーガ、そしてチベットのニンマの伝統であるアティヨーガのサムデを普及させました。
「三大受取人」の一人目は、グル・リンポチェの主な弟子の一人であったニャク・ジュニャーナクマーラです。シュルチェン・シャーキャ・ジュンネーと、その甥のシュルチュン・シェーラプ・タクパ、そしてその息子であるシュル・シャーキャ・サンギェーの三人は、共に三番目として数えられます。
ヌプチェンはクールン・ヨンテン・ギャツォをはじめとした多くの弟子を持ち、数々の重要な書物を執筆しました。
彼は130歳まで生きたとされますが、別の言い伝えでは、113歳か111歳で死んだとも言われています。
彼の転生とされる人物には、ドゥムギャ・シントン、ティメー・クンガ(14世紀後半)、ツァスム・リンパ(15世紀前半)とサンダク・ティンレー・ルンドゥプ(1611-1662年)などがいます。