パトゥル・リンポチェの生涯と教え(28)
◎原生の氷河地帯でのニョシュルの修行
ある日、パトゥルはルントクにこう言った。
「ゾクチェン・カント(原生の氷河地帯)に行って、瞑想しなさい。」
カント(原生の氷河地帯)は、パドマサンバヴァによって祝福された隠遁の地、洞窟の地帯である。そこは、ゾクチェン僧院の上方の雪線(万年雪のある最低境界線)に位置しており、近くには三つの湖がある。湖はそれぞれ異なる標高に存在しており、一番標高の高い湖は、海抜約5000メートルである。
パトゥルの指示に従って、ルントクは、ゾクチェン僧院の上方にある原生の氷河地帯に向かい、そこに三年間籠って、ミンギュル・カムカイ・ドルジェの長寿のために修行に専心した。
瞑想用の座布団として、ルントクは平らな石を用いた。厳しい自然から身を守るための処置も、古い擦り切れた肌着の上に綿製の僧衣を着る以上のことはしなかった。彼は、チュレン――深い非概念の瞑想境地に入ることで空のエッセンスを抽出し、そこから栄養を摂ることで、わずかな固形の食物しか必要としない修行――に没頭していた。
ルントクは、多くの神々のヴィジョンを見た。彼は、ゾクチェンの中でダルマカーヤの悟りを得、すべての現象を、偏見や限定を入れることなく、純粋なる意識の顕われとして知覚することができるようになったのだった。ここで彼は、四つのヴィジョンとして知られている、ゾクチェンの究極のステージを完成させる修行を行なった。
三年後、ルントクは、師パトゥルのもとへ戻った。
パトゥルは尋ねた。
「生き抜くのが大変だっただろう?」
「ほとんど、何も食べませんでした。」
ルントクは言った。
「私はあなたの指示に従うことができ、そしてミンギュル・ナムカイ・ドルジェの長寿のために修行ができて幸せでした。」
「ヨーギーがサマヤを純粋に守れば、神々と悪魔たちが栄養を供給してくれると言われている。」
パトゥルは大喜びしながら、言った。
「お前は、その完璧な実例だ!」