パトゥル・リンポチェの生涯と教え(18)
◎ジグメ・ギャルワイ・ニュグと悪霊
パトゥルの根本グルであるジグメ・ギャルワイ・ニュグは、その慈悲深さで有名であった。
あるとき、悪霊が彼を殺そうと心に決め、ギャルワイ・ニュグの洞窟にやって来て、その中をじっと見つめていた。悪霊はそこで、白髪の老人が眼を閉じて、静かに瞑想に座り、慈愛と慈悲の光を周りに放っているのを見たのだった。
その光景は、悪霊に深い衝撃を与え、悪霊の持っていた悪しき心の習性は消え、そこに菩提心が芽生えたのだった。悪霊は、もう二度と殺生はしないと誓いを立てた。
その後、害をもたらす思考が心の中にわずかにでも生じると、それはすぐに、静かに慈愛の光を放っていたジグメ・ギャルワイ・ニュグのヴィジョンに置き換えられるのだった。もう二度と、その悪霊は悪さをすることができなくなってしまった。
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