要約・ラーマクリシュナの生涯(32)「ラーマクリシュナとナレンドラの神聖な関係」②
◎禁忌とされる食べ物にも影響されないナレンドラ
ラーマクリシュナは弟子や信者たちに、食物や睡眠、修行などに関する様々な規則を守るように奨励していた。しかしナレンドラに関しては、そのような規則を守らなかったとしても害はない、と繰り返し言った。
「ナレンドラは永遠なる完成者だ。」
「ナレンドラは瞑想の完成者だ。」
「ナレンドラの内部には、食べ物による不純を焼き尽くす叡智の火が常に燃えている。だからどこで何を食べても、心が乱されたり、けがされたりすることはない。」
「ナレンドラは叡智の剣でマーヤーの束縛を常にずたずたに切り裂いているので、マハーマーヤーは彼を支配下に置くことができないのだ。」
日々繰り返されるこのようなナレンドラへの絶賛の言葉に、信者たちは驚いて聞き入っていた。
マルワリ(商業が発達していることで有名な地方の人々)の信者たちがときどきラーマクリシュナを訪ねてやって来て、木の実、ピスタチオ、干しブドウ、氷砂糖など様々な食品を献上した。しかしラーマクリシュナはそれらを一切食べようとせず、また周りの信者にも食べさせなかった。
「彼らは下心なしに贈り物をすることを知らない。聖者にペテル巻きを一つ持っていくときには、16の願い事をつけてくるのだ。こんな物質的な人からもらったものを食べると、バクティを失うのだよ。」
また、彼らが日々、嘘をついてお金儲けに精を出していることもその理由だった。
では、彼らが献上した贈り物はどうなったのだろうか? ラーマクリシュナはこう言うのだった。
「ナレンドラのところに持っていきなさい。あの子なら食べても大丈夫だ。」
またあるときは、ドッキネッショルにやってきたナレンドラが、ラーマクリシュナにこう言った。
「師よ、私は今日、ホテルに行って、禁忌とされているものを食べてきました。」
元来、伝統的なヒンドゥー教においては浄・不浄の観念が非常に強いため、禁止された食物をとった者は不浄となり、彼に触れることもできなくなる。よってナレンドラは、ラーマクリシュナもそれを気にするかもしれないと思い、聖典で禁止されている食物を食べてきたことを自ら申告したのだった。
しかしそれに対して、ラーマクリシュナはこう答えた。
「お前の害にはならないよ。神に心を置く者は、豚肉や牛肉を食べても、茹で野菜、米、ギーから作った最も清らかなハヴィッシャーンナを食べたのと変わらないのだ。これと同じで、世俗の欲望に夢中になっている人がホウレンソウや野菜を食べても、豚肉や牛肉を食べるのよりちっとも良くはないのだよ。お前が禁じられたものを食べても、私は少しもかまわない。しかし他の誰かが同じことを言ったなら、私はその人に触れることはできないだろう。」