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ニティヤーナンダの生涯(5)

◎ナヴァディープへの訪問――ゴウランガとの出会い

 その頃、シュリー・ゴウランガ・マハープラブが、バクタの姿で、バガヴァーンの化身として降誕されました。
 彼はシュリーヴァスの家でサンキールタンを始めました。
 ニティヤーナンダの金切り声と悲鳴がマハープラブの胸に鳴り響き、時折、彼はサンキールタンの中で歌い踊りながら、「ハー、バララーマ! ダダ バララーマ!」と悲鳴をあげるのでした。

 ニティヤーナンダは、兄弟カナイ(クリシュナ)がゴウランガ・マハープラブの姿でナヴァディープにお現われになったというインスピレーションを受けて、ナヴァディープに向かいました。
 ゴウラ・プレーマに酔いしれ、狂象のようにフラフラと前後を行ったり来たりしながら、ニティヤーナンダはナヴァディープに向かったのでした。
 彼は、あるときは泣き、あるときは笑い、またあるときは狂気の中で、ゴウラが自分と一緒にいるのだと想像しながら、彼との愛に溢れた会話に没入していました。
 アヴァドゥータのように彼は青い服を着て、トゥルシーとルドラークシャの数珠を首に巻き、クンダラ(耳飾り)を片耳につけ、ヌプラ(足首の飾り)を足首に巻いていました。
 バーヴァ状態で踊ったり跳ねたりしながら、彼は体を神々しく、そして顔を美しく輝かせながら、光の道を進んでいったのでした。

 ナヴァディープに到着しても、彼はゴウラのいる方角には行きませんでした。
 彼はふざけてナンダナ・アーチャーリヤの家に行き、そこに身を隠したのでした。
 その夜、マハープラブは夢を見ました。
 そしてその翌日、彼はガンガーで沐浴して、ヴィシュヌ・プージャを行なった後に、シュリーヴァスの家に行き、仲間に向かってこう言いました。

「昨夜、夢を見た。背が高く、光り輝く美しい姿のマハープルシャ(偉大なる魂)が、天の馬車に乗って、私の家にやって来たのだ。
 彼はムシャラ(米ぬかの粉)を肩に背負い、左手にはカマンダル(水瓶)を持ち、頭と体には青い衣をまとっていた。
 彼は神の愛の杯を飲んで酔っ払っていて、私の家の扉の前で、誰かに『ニマイ・パンディットの家はここですか?』と聞いていた。
 私はあんなに美しく、愛に酔ったマハープルシャ(偉大なる魂)を今まで見たことがない。
 彼に、あなたはどなたなのかと聞いてみたら、彼は微笑んでこう答えたんだ。

『知らないのですか? 私はあなたの兄弟です。』

 私も本当に、彼が私の兄弟であると感じた。」

 マハープラブはこの夢のことを話しながら、バララーマのバーヴァに憑りつかれてしまいました。
 彼は外界の意識を失い、「酒を持ってこい! 酒を持ってこい!」と叫び始めました。
 信者たちはそれに脅えました。
 シュリーヴァス・パンディタはこう言いました。

「主よ! あなたが望まれる酒を、あなたはすでにお持ちではありませんか。
 あなたは常に、それを他者に分け与えていらっしゃる。」

 バーヴァが治まると、彼は微笑んでこう言いました。

「今私が話したマハープルシャ(偉大なる魂)は、二日前にナヴァディープに来ている。彼はすでにここに来ているのだ。」

 それから、彼はシュリーヴァスとハリダースを見て、こう言いました。

「さあ、彼を探してきておくれ。彼を私のところに連れてくるのだ。」

 そしてこの二人はマハープルシャを探しに出かけました。
 
 彼らはマハープルシャを探し続けましたが、見つけることができませんでした。
 なぜでしょうか?
 シュリー・ヴリンダーヴァナダース・タクルは、「チャイタニヤ・バーガヴァタ」の中でこう言っています。

「ニティヤーナンダは、非常に理解し難く、認識し難い。
 誰も自分で彼を見つけることはできないのだ。
 シュリー・チャイタニヤに明かされて初めて、彼を見ることができる。」

 ゆえに、マハープラブ自らが、仲間と共にニティヤーナンダを探しに行きました。
 マハープラブは歩きながら、両手をあげてキールタンを歌っていました。
 長い間離れ離れになっていた兄弟と会えるがゆえに、彼は愛で気が狂いそうになりました。
 彼の眼からは涙が流れ、彼の腕はずっとその兄弟を抱擁したくてそわそわしていました。
 道草を食うことなく、彼はまっすぐにナンダナ・アーチャーリヤの家へと向かっていったのでした。

 マハープラブと彼の信者たちは、ニティヤーナンダに恭しく敬礼をしました。
 ニティヤーナンダは、愛に満ちた眼で、マハープラブをじっと見つめていました。
 彼がマハープラブの黄金色の肌、花で飾られた黒い巻き毛、慈悲に満ちた蓮華の眼、アムリタに満ちた甘美な微笑みを見ると、まるで眼で彼の美を飲み、鼻で彼の匂いを嗅ぎ、腕で彼を抱きしめているかのように見えました。
 マハープラブも同様にして、ニティヤーナンダを見つめました。
 二人とも、愛の涙を流し、無言で、茫然自失になっていました。
 信者たちも、ニティヤーナンダとマハープラブを見ると、茫然自失となり、涙を流しました。
 
 マハープラブは、沈黙を破り、ニティヤーナンダの真の性質を現わすようにと、シュリーヴァスに身振りで合図をしました。
 シュリーヴァスはその合図を理解し、牧草を食む牛たちの後に続いて友達の牧童たちと一緒に森から帰ってくるクリシュナの美しさを詠ったシュリーマド・バーガヴァタムの詩「barhapidam natavara vapuh」を歌い始めたのでした。

「頭頂にクジャクの羽をいだき、
 カルニカ花の飾りを耳に飾り、
 身にはピタンバラ(金色の衣)を纏い、
 首には五種類の芳香漂う花輪をかけていらっしゃる彼。
 彼が踊り子の格好で、横笛を吹きながら、
 彼の賛美を唄う友たちを連れてやって来られた。
 美しさにおいてはヴァイクンタをも凌ぐヴリンダーヴァンは、
 彼の御足の跡をつけて、さらに美しくなった。」

 この詩を聞くや、ニティヤーナンダは意識を失いました。
 マハープラブはシュリーヴァスに、この詩を大きな声で、繰り返し唱えるように言いました。
 そして繰り返し唱えていると、ニティヤーナンダは意識を取り戻し、立ち上がって、狂人あるいは酔っ払った象のように雄叫びをあげて踊りました。
 雄叫びをあげるごとに、彼は高くジャンプしました。
 信者たちはそれを見て、骨が折れるのではないかと心配したのでした。
 誰が彼の心の中に高まるプレーマの高潮を計ることができたでしょう?
 マハープラブは眼から涙を流しながら、彼の傍で、これを見ていました。
 そして突然、彼は腕を広げると、ニティヤーナンダを自分の膝の上に抱きました。
 ニティヤーナンダは、マハープラブの膝の上に抱かれるや否や、母親の膝の上に抱かれる子供のように、あるいはものすごい勢いで流れてくる河が海に落ち込んだときのように、静かになったのでした。
 マハープラブの膝の上で横になると、ニティヤーナンダはまばたきもせずに、彼の御顔をじっと見つめました。それはまるで、すでに主に心と魂を明け渡していた者が、今その体も明け渡し、完全にすべての苦しみと不安から解放されたかのようでした。

 兄弟カナイの膝の上で横になって、眼で彼の御顔の美という甘露を飲み、ニティヤーナンダはアーナンダ・サマーディ(歓喜のサマーディ)に入りました。
 しばらくすると、彼は意識を取り戻し、立ち上がりました。
 すると、マハープラブは以下のように、彼を讃嘆したのでした。

「今日、私は祝福されています。四つのヴェーダの精髄であるバクティの化身が、あなたの姿で私の前に立っているのを、私は見たのですから。
 あなたはバガヴァーンの完全なるシャクティーであると、私は信じています。
 ジーヴァ(魂)はあなたの恩寵によって、バクティを獲得するのです。
 あなたは非常に理解し難く、未知であり、知ることができるものではありません。」

 ニティヤーナンダは、その讃嘆を聞いて微笑みました。
 マハープラブは常に、ご自分の神性を隠そうとしました。
 彼がニティヤーナンダを讃嘆したのは、バクタとしての最高の謙虚さゆえなのでした。
 しかし、どうしてニティヤーナンダがマハープラブの真の本性を表わさずにいられましょうか?
 ニティヤーナンダは、左手で彼をつかみ、右手で彼の顎に触れ、じっと彼を見つめると、愛を込めてこう言いました。

「ああ、ゴウラ・ハリよ!
 私はあなたを知っています。
 あなたはカナイと同じ御方。
 しかし、あなたはあの黒いお肌と黄色い衣と
 あの甘美な横笛を誰にあげてしまったのですか?
 どうしてヴリンダーヴァンを去り
 ヤショーダーお母さんのもとを離れ
 サチの子として
 ナヴァディープに来たのですか?」

 マハープラブはこれに対して何と仰ったでしょうか?
 彼は頭を下げて、ニティヤーナンダの御足を触ろうとしたのです。
 しかし、ニティヤーナンダはそれを拒み、マハープラブの御足に触れそうとしたのでした。
 二人はしばらくそのようにして取っ組み合っていましたが、どちらも譲りませんでした。
 そして最後に二人は抱き合い、ニティヤーナンダはこう言いました。

「私はあなたを探して世界中を周りましたが、見つけられませんでした。
 今やっと、その泥棒を見つけたのです。
 彼は次はどこに行くのでしょうか?」

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