ラーマクリシュナの思い出
「師(ラーマクリシュナ)が故郷の村にいらっしゃったとき、毎夕、師は、道を通り過ぎる人々を眺めるために、師の両親の家のそばに座っていらっしゃいました。女性たちは皆、水を貯水槽から運ぶためにその道を通らなければなりませんでした。女性たちは壺を運んでいましたが、ドアのところにいる師を見ると、壺を脇に置いて、正面の小さな中庭に座り、師が語る神の話や賛歌を聴いて、喜びのあまり一切を忘れたものでした。
彼女たちが自分の義務を疎かにしていないかと心配して、師は彼女たちに尋ねました。ある少女は、
『私は牝牛を飼っています。あなたがいらっしゃると聞いて、私はひと月もつくらいワラをたくさん刈っておいたので、部屋はワラでいっぱいです』
と言いました。
別の少女に対して、師は、『赤ちゃんはどうしたのだい?』と尋ねました。彼女は、
『おお、忘れていました! 私は赤ちゃんをお隣さんに預けたままです』
と叫びました。師にお会いするために、彼女は1.6キロ以上歩いてきたのです。
ある日師は、女性たちに、
『さて、今日はあなた方が歌わなければならないよ。私は聞こう。』
とおっしゃいました。彼女たちは皆、黙っていました。誰一人あえて音を立てようとはしませんでした。しかし、そこに一人の少女がいました。師はその少女をとても愛していたので、彼女の姿が見えないときは、いつも彼女を呼びにやったほどでした。彼女は誰も歌おうとはしないのを見て、か細く甲高い、震えた声で歌を歌いました。少女たちは皆、彼女を見て笑い始めましたが、彼女が歌い終わったとき、師は大喜びしました。
『ごらん、彼女の信仰の何と偉大なこと!』
と、師は叫びました。
『私が頼んだだけで、彼女はこんなに素直に、飾ることなく歌ったのだ。あなた方の中で、彼女だけが真の信仰を持っている。』」
――ラクシュミー・デーヴィー(ラーマクリシュナの姪)
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