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20110420「供養と懺悔の会」より(1)

20110420 「供養と懺悔の会」より

◎最も高度でやさしい道

 今日は『約束のサイン』ですが、その前に『ラーマーヤナ』を読んだのでちょっとだけその話をすると、『ラーマーヤナ』というか最後のね、今日はハヌマーンの日なので、ハヌマーンが最後に帰依を示す場面でしたね、さっき読んだのはね。あれをみれば分かるように――もう一回あそこを振り返ると、シーターがね、ハヌマーンの活躍に対する賞与として、ラーマからもらった数珠をハヌマーンにプレゼントするわけですね。しかしハヌマーンはこうやって一つ一つ数珠をね、猿がよくやるような感じでこう(笑)、見て、かじったりして何かやってると。「これもちがう、これもちがう」ってこう、せっかくもらった高価な数珠を一個一個壊しながら捨ててった。みんなびっくりしたわけだね、当然。一体何してるんですかと。で、ハヌマーンが言うには、「いや、この数珠の中にはラーマがいない」と。「わたしにとってはどんなに――つまり現世的に価値のあるものであっても、そこにラーマがいなければ何の価値もないんです」と。それに対して周りの者が、「一体何を言ってるんだ」と。「そんな数珠の中にラーマがいるわけないじゃないか」と言ったら、ハヌマーンがね、「いや、わたしは常にラーマと共にあります」と言って、自分の胸をこう開いて見せたんだね。
 よくこの、そういう絵があるんですけど、あれはおとぎ話的な感じじゃなくて、絵を見れば分かると思うけど、ちゃんとハヌマーン出血してるんだね(笑)。出血した後があって、本当にガッと開いてる。そうしたら本当にラーマとシーターがね、胸に仲良くいたんだね。で、みんなそのハヌマーンの帰依の深さに感服したっていう話がありますが。
 これはもちろんハヌマーンっていうのは神の化身であり、このラーマーヤナっていうのは神々の化身たちの物語なので、実際これは現実にあったシーンなのかもしれないと思う。つまりここで言いたいのは、まさにこのハヌマーンの言葉と行動に集約されるわけですけども、わたしもいつも言うようにね、心を神でいっぱいにすると。ね。つまり何の隙間も入らないぐらいにいっぱいにすると。それ以外には一切価値を見いださないと。これがね、バクティ・ヨーガの道なんだね。
 つまり前も言ったけども、これが最も高度であり、かつ最もやさしい道なんです。最も高度でやさしいっていうのは、矛盾するように考えるかもしれないけど、つまり教えとしては最も高度なんです、これは。しかし方法としては実は最もやさしいんです。皆さんの心がそこに向かえばですよ――現代人というのはいつも言うように、疑念が強い人が多いので、もともとバクティの入口に入れない人がまず多いんだけども、皆さんみたいにバクティの縁がある人っていうのは、この道をとったならば、最も簡単に修行を進め、修行を成就することができると。
 つまり何を言いたいかっていうと、わたしの心はラーマでいっぱいなんですと。例えばお金も、あるいは異性も、あるいはその他のさまざまな現世的な喜びとされることも、全く眼中にないと。
 だから恋愛とすごく似てるかもしれないね。もう恋愛相手のことで頭がいっぱいで、ご飯も喉を通らないし、いつも好きだったいろんな遊びとかも全く手に着かないぐらいの感じを、ひたすら神に向けるわけだね。神で頭がいっぱいなんですと。神で心がいっぱいなんですと。だから他のことを考える、ある意味余裕がないんですと。ね。
 例えば前も言ったけど、ね、大地震だとか放射能だとかみんな言ってるけども、全くわたしの心にはそんなことを考える余裕がないんですと。ラーマでいっぱいなんですと。これくらいの強烈な集中ですね。これがバクティの道なんだね。
 つまりこれがなぜ最も簡単かっていうと、何が簡単なのかっていうと、これによってわれわれが落とさなきゃいけないけがれとか煩悩が、自然に落ちていくんです。
 逆に、例えば自力のヨーガの道っていうのは、けがれそのものにフォーカスするわけだね。けがれを落とそうと。どうやって落とそうか。意思の力で落とすんだ!――みたいな感じなわけだけど、じゃなくてこのバクティの道っていうのは、もうわたしには神しかいないと。あなた様しかいらっしゃいませんと。よって自然に他のものがどうでもよくなってくる。この道こそが最も簡単。つまり皆さんが何億回、何十億回、何兆回と生まれ変わって作ってきたこのこびりついたけがれを、いとも簡単に落とすのが、このバクティの道なんだね。
 もちろん実際には、いつも言うように、われわれはまだまだバクティが完全ではないので、ある程度はもちろん自力の部分もなきゃ駄目ですよ。ある程度は、自分の意志で自分のけがれを落としていくっていう作業もなきゃいけないなんだけど、でも理想的にはこのバクティをベースに置けば、非常に簡単に修行が進む。

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