2011年インド修行旅行記(17)「ギッジャクータ山」
ブッダガヤー滞在のある日、我々は一日時間を取って、ラージギル方面への巡礼に行きました。
ラージギルというのは昔はラージャガハといい、お釈迦様の時代、マガダ国という大きな国の首都だったところです。この国の王であるビンビサーラ王がお釈迦様に深く帰依し、お釈迦様とその弟子たちの後援者となりました。お釈迦様は特に晩年、この地を気に入り、長い年数に渡って滞在していたといわれます。
このビンビサーラ王、最後は息子のアジャータサットゥ王子に牢獄に幽閉されて殺されてしまいますが、このアジャータサットゥ王子も後には改心し、お釈迦様に帰依しています。
私はここも何度も訪れているのですが、私見では、このあたり、特にギッジャクータ山は、とてつもなく素晴らしいヴァイブレーションに包まれています。
このあたりは前述のように、お釈迦様の時代は大国の首都でしたが、今は町としては廃れていて、大変な田舎町です。町の主要な交通手段は馬車ですし、盗賊が出るから気をつけろという話もよく聞きます。
しかしそれなるが故に、素晴らしいヴァイブレーションが現代まで保たれてきたのかも知れません。ここはブッダガヤーから車で4時間くらいのところですが、外国からブッダガヤーに巡礼や観光に来た人でも、このラージギルまで来る人は少ないようです。
まず我々はギッジャクータ山の麓まで車で行き、ここから徒歩でギッジャクータ山を目指しました。
普通はロープウェーでギッジャクータ山の少し上まで登り、そこから徒歩で降りてくるというルートを取る人が多いらしいのですが、我々は巡礼の意味も込めて、あえて徒歩で登る少々きついルートを取りました。
ギッジャクータとは「鷲の峰」という意味で、山というか小高い丘のようになっており、今はそこに祭壇がもうけられています。お釈迦様は晩年、この場所を気に入って、弟子たちと共に長く滞在し、修行したり説法したりしたとされています。大乗仏教においても、重要な大乗経典がこの場所で説かれたという伝説から、重要視される聖地です。
ここは日陰を作るようなものが何もない場所なので、いつもとても暑いのですが、瞑想には非常に良い、素晴らしいヴァイブレーションに満ちた聖地です。この日もとても日差しが暑かったのですが、皆、深い瞑想に没入していました。
瞑想を始めると、その場所を掃除したり管理しているインド人のおじさんが、誰も何も言っていないのに、私を指導者と見て取ったのか、私の頭上に日傘をかざしてくれました。「いや、かざさなくていいですよ」とジェスチャーで伝えたのですが、彼はやめずにかざし続けました。けっこう長く瞑想していたのですが、彼はその間も、そしてその後に私が皆に話をしている間も、ずっと日傘をかざし続けてくれました。
どこの誰かわからない(笑)、外国から来たただの巡礼者なのに、その中の指導者と思われる人物に、何も言わずにこのような無償の奉仕をする、その純粋で素朴な信仰心に、とても感動しました。