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2.睡眠の光明を生じさせる方法

2.睡眠の光明を生じさせる方法

 睡眠の光明を生じさせる場合には、まず栄養のある食物をとり、寒すぎず暑すぎない環境の中で寝るように心がける。
 また、ある教えには、なかなか睡眠の光明を生じさせられない場合は、2、3日間眠らずにいてからやってみるべきだとも述べられている。

 昼間の修行において、三宝を供養し、イダムに供物をささげ、睡眠の光明を保つことと、それへの障害を取り除いてくれることを祈願する。
 そして自分をイダムとして観想し、またグルヨーガを行ない、睡眠の光明を保つ祈願を何度も行なうべきである。

 実際に寝るときには、頭を北に向けて、右わきを下にして横になるライオンの寝方をする。自分をイダムとして明らかに観想し、心臓に四枚花弁の蓮華を観想し、その中央に青いフーム字を観想する。

 そして残りの四つの花弁にも種字を観想する方法と、観想しない方法がある。

 前者の方法においては、まずア字に心を向け、眠り始めたときにヌ字に心を向けることによって、第一の空である「輝く光」があらわれる。次にタ字に心を向けることによって、第二の空である「増大する輝き」があらわれる。次にラ字に心を向けることによって、第三の空である「成就間近」があらわれる。次にフーム字に心を向けることによって、第四の空である「一切空」があらわれる。

 後者の方法においては、ただ中心のフーム字にのみ集中する。

 これはどちらのやり方をとってもかまわない。

 ただし、昼間に堅固なサマーディの経験がないと、睡眠の空を保つことは難しい。

 覚醒時の修行においてチャンダーリーの火のヨーガをしっかり修習し、プラーナを中央気道に入れて空を経験できる者は、眠り始めに心臓にフーム字を観想することによって、2、3日かからずに、睡眠の四つの空を経験することができる。
 
 覚醒時に四つの空を完全に体得できていなくても、至福・光・無分別のサマーディを堅固に保てる者が、睡眠の前にそのようなサマーディに入り、その後に眠りにつくことによって、睡眠のサマーディに入ることができるが、これは無上ヨーガで定義するところの「睡眠の光明」ではない。しかしながらこのような素養を持つ人が、心臓にフーム字を観想しながら眠りに入るならば、本当の「睡眠の光明」を得ることに徐々に近づいていくであろう。

 よってまず覚醒時に、実際にプラーナを中央気道に入れることができるように懸命に修行すべきである。
 そのように熟達したならば、眠りに入る前に心臓にフーム字を観想することによって、簡単に睡眠の光明を経験できるであろう。

 睡眠の光明があらわれるプロセスは、まず陽炎のようなヴィジョンがあらわれる。
 次に蛍が飛び交うような、赤いピカピカした光があらわれる。
 次に風のない場所に置かれた灯火のようなヴィジョンがあらわれる。
 次に白い滴があらわれ、月の光のような輝きがすべてに行きわたる「明らかな光」があらわれる。
 次に赤い滴があらわれ、太陽の光のように赤またはオレンジの輝きがすべてに行きわたる「明らかな増大する輝き」があらわれる。
 次に黒い滴があらわれ、夜の暗闇がすべてに行きわたったような「成就間近」が生ずる。その前半においては意識があり、後半においては意識をいったん失うが、それは過失ではない。
 次にその真っ暗な意識不明の状態から目覚めて、明け方の澄んだ空のような「一切空」あるいは「光明」と呼ばれるものがあらわれるのである。
 その最後の光明の中にできるだけ長い間とどまることが重要である。

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