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頭で立つアーサナ

 このアーサナは、アーサナの中で最も重要なアーサナのひとつです。一説には、「肩で立つアーサナ」が「アーサナの母」、そしてこの「頭で立つアーサナ」が「アーサナの父」とも呼ばれています。
 しかしこのアーサナも、正しい実習の仕方と、このアーサナを行なうための精神的・肉体的条件がある程度満たされていないと、その価値は半減してしまうばかりではなく、弊害さえももたらす可能性があります。

1.正座する。ついでかかとを立てて、尻をその上に乗せ、背筋を真っすぐに保つ。
2.手を組み合わせて上体をかがめ、その手とひじを床に置く。
3.組み合わせた手のひらの内側に後頭部をあてがい、頭頂が床につくようにする。
4.以上の姿勢が定まったら、ひざを伸ばして尻を床から持ち上げていき、足先を小刻みに顔の方に近づけていく。上体は、次第に床と垂直になっていく。
5.太ももが腹につくころ、足が自然に床から離れて宙に浮き上がるような感じが出てくる。
6.バランスをコントロールしながら、ゆっくりと床から足を上げてひざを折り曲げ、足の裏を天に向け、背中を真っすぐに伸ばし、この姿勢でのバランスを固める。
7.足をゆっくりと上げていき、太ももが床と平行になる。
8.さらに足を上げていき、足と上体が一直線になるようにする。
 普通呼吸を行ないながらこの姿勢を保つ。初めは15秒から始めて、次第に時間を伸ばしていき、最大24分まで行なってもよい。
9.元の正座に戻るには、逆の順序をゆっくりとたどっていく。
10.正座に戻った後、床の上で上下に重ねたこぶしの上に額を乗せて休む。その休息の時間は、少なくともそれまでに使った時間と同じ時間が必要である。その後、元の正座に戻り、さらに続いてシャヴァ・アーサナを行なう。

<説明・要点・注意>

1.頭で立つまでの過程と戻るまでの過程を無理なく自然に行なえるか、そうでないかは、このアーサナの効果に大きな影響を及ぼします。
 このアーサナを行なうには、「背中を伸ばすアーサナ」の実習によって、背中と腰と足とが、十分に柔軟になっていることが第一の条件です。また、肩で立つアーサナをマスターしてから行なうとやりやすいです。
2.まずは足を上体に十分に近づけて、足が床から少しでも無理なく自然に離れる感覚を習得します。それには、少しでも足が離れたら、その状態を保持する練習をするのがよいでしょう。これが、滑らかに足を上下させるための大きな条件となります。
3.このアーサナは、効果が大きいだけに、避けるべきことも多くあります。次の症状のある人は行なってはなりません。
 ◎耳が痛んでウミが出る人
 ◎病気が進行中、または治って間もない人は、よい指導者と相談してから行なうこと
 ◎高血圧・低血圧の人は、よい指導者と相談してから行なうこと。
 ◎頸椎が大きく歪んでいる人
 ◎ひどい便秘の人は、よい指導者と相談してから行なうこと。
 ◎激しい運動をした後
4.体重はできるだけ頭頂にかけるようにし、腕はバランスを取る程度にします。
5.できるだけ左右の足をつけた状態で行なうこと。足を上げ下げする時も、両足を一緒に少しずつ行なう。

<効果>
1.このアーサナは、すべてのアーサナの王であるとも言われている。それは、このアーサナによって頭脳に十分な血液が供給されるからである。
2.エネルギー欠乏、頭脳の疲労と圧迫感、身体疲労、倦怠感、記憶力減退、不眠症、神経緊張に効果がある。
3.心臓より上にある内分泌腺に新鮮な血液が供給されるために、松果腺、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺の働きが正常になり、しかも活気付けられる。
4.腹部のもろもろの内臓器官が、日常の圧迫から解放されて弛緩する。また、静脈・動脈の運行が促進されて、すべての内蔵の働きがよくなり、その結果、肝臓、脾臓の充血、消化不良、便秘などが治る。
5.ゼンソク、心悸亢進、喉の充血、口臭、頭痛、鼻の病気、耳の病気、静脈瘤、不眠症、記憶力減退、活力減退、風邪、扁桃腺炎などの疾患がよくなる。
6.意識の世界を限りなく広げていき、無意識の世界を意識化していく条件を生み出す。
7.知覚神経の働きが活性化され、視力もよくなる。
8.身体が健康になり、若返る。長生きができる。
9.禁欲生活を守りやすくなる。
10.輝くような美しい肉体になる。
11.精神集中力も高まる。
12.精液が昇華され、特殊な力が蓄えられる事によって、瞑想修行をする力がつき、また精神的にも肉体的にも活発な力が身につく。
13.思考能力が向上し、頭脳明晰になる。頭の疲れにも即効的効果がある。
14.体を暖かく保つ。
15.苦しみと喜び、損得、名誉・不名誉などにとらわれなくなり、強い自立した心を得る。

頭で立つアーサナ・ひざを伸ばしたままで

 ひざを伸ばしたまま、床から上げていくやり方もあります。これは上級者向けです。
 

頭で立つアーサナ・手の平を床につける

 これは、ひじを床から離し、頭と両手の平だけで頭立するやりかたです。
 普通の頭で立つアーサナの姿勢を取った後にひじを床から離すやり方と、最初から頭と手の平だけで体を立てていくやりかたがあります。

頭で立つアーサナ・腕を伸ばす。

1 手の平を床につけた頭で立つアーサナを行なう。
2 右肘を素早く伸ばして、手の甲を前の床につける。次いでもう一方の腕も、バランスに十分に注意して同様に伸ばす。リズミカルな普通呼吸を行ない、10秒~1分間保つ。
3 息を吐きながら、手の位置はそのままで、伸ばしたままの両足をゆっくりと降ろして息、足が床と平行になったところで2~3秒止めてから、足先を床につけ、ひざを折り曲げて座り、こぶしを床に重ねた上に額を乗せて十分に休む。ついで正座に返る。

※最初から両腕を伸ばし、手の甲を床につけたままで両足を上げていくやりかたがある。これは一連の肩で立つアーサナの中で最も難しく、これが気持ち良くできるようになったならば、肩で立つアーサナを完全にマスターしたといってもいい。

頭で立つアーサナ・蓮華座で

1.頭で立つアーサナの姿勢をとる。
2.そのまま蓮華座を組む。
3.息を吸いながら、組み合わせた足をゆっくりと垂直に立て、さらにできるだけ背中をそらせる。ここで息を止めるか、普通呼吸をして5~10秒間保つ。
4.ゆっくりと息を吐きながら、頭で立つアーサナに戻る。
5.左右の足を組み替えても行なう。

※注意・・・組んだ足を垂直にし、反らせるためには、背骨、特に腰椎の柔軟性を必要とします。そのためには、コブラ、バッタ、弓、ラクダ、魚などのアーサナを実習することが大切です。特に「魚のアーサナ」「蓮華座の魚のアーサナ」は重要です。

<効果>
1.頭で立つアーサナの効果の他に、コブラのアーサナ、バッタのアーサナ、弓のアーサナ、ラクダのアーサナ、魚のアーサナ、蓮華座の魚のアーサナ等の効果が相乗的に働く。
2.肋骨と骨盤によい刺激をもたらし、骨盤の部分の血液の循環を促し、そこの神経組織によい効果をもたらす。

頭で立つアーサナ・蓮華座で足を下ろす

1.頭で立つアーサナで蓮華座を組む。
2.息を吐きながら、蓮華座に組んだ足を下ろして、上体に近づけていく。
3.息を止めるか、普通呼吸をして5~10秒間姿勢を保つ。
4.息を吸いながら足を戻していき、ついで足を組み替えて同じことを行なう。

<効果>
1.頭で立つアーサナの他に、頭をひざにつけるアーサナ、鷲のアーサナ、背中を伸ばすアーサナ等の効果が相乗的に働く。
2.腹部臓器の血行を促進する。

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