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解説・入菩提行論(17)「菩薩の誓願 20の詩」

 解説・入菩提行論(16)の解説で出てきました、この入菩提行論に大きな影響を与えたと思われるナーガールジュナのラトナーヴァリーの中の一説を、参考までに紹介します。ここには入菩提行論で展開されるすばらしい教えのエッセンスがちりばめられています。

菩薩の誓願 二十の詩

 仏法僧と菩薩とに恭敬をなし、帰依して、それら供養するにふさわしい人々に、わたしは礼拝を捧げます。
 悪から退き、すべての功徳を良く守り、すべての人々の功徳をことごとく賛嘆します。
 私は頂礼合掌して、正覚者方に、法輪を転じて世界を安らかにしてくださるように、と請願します。
 このようになされた功徳や、自らがすでに行なった、また未だ行なっていない功徳によって、すべての衆生がことごとく無上の菩提心を起こしますように。
 すべての衆生がけがれのない感官を完全にそなえ、難を越えて、行いが自由自在となり、正しい生活を送る者となりますように。
 すべての衆生が、すべて手に宝を掌握し、すべての資具は限りなく、輪廻にある限りつきることがありませんように。
 いつでもすべての女性が、優れた男子となりますように。またすべての衆生が、学と行を具える者となりますように。
 衆生が容色を持ち、姿が美しく、威光が優れ、見るに麗しく、病なく、力を具え、長寿でありますように。
 あらゆる方便に通じて、すべての苦しみから解放され、三宝に帰依し、覚者の法則の大宝を持つ者となりますように。
 慈愛・哀れみ・称賛およびとらわれのない心を持ち、布施・戒・忍辱・精進・禅定・智慧によって飾られ、
 功徳と智慧の資糧をすべてまどかに具え、相好が明らかであり、不可思議の十地に間断なく進みゆく者となりますように。
 私もまた、それら及びその他すべての功徳によって飾られて、すべての罪悪から離れ、すべての衆生を慈しむ最勝の者となり、
 あらゆる衆生が願望するところの善をすべてまどかに具して、常にあらゆる衆生の苦しみを除く者となりますように。
 すべての世界において、いかなる人であっても恐怖を持つ人が、すべて私の名を聞くだけで、全くおそれることがなくなりますように。
 人々が、私を見、心に思い、またただ名のみを聞いて、浄信をおこし、乱れることなく、心安らかとなり、必ず完全無欠の覚醒に至る者となりますように。
 いかなる生にあっても、その生に随順する五神通が得られますように。あらゆる衆生に、すべてにおいて常に利益と安楽を与える者となりますように。
 すべての世界において、もしある人々が罪悪をなそうとするならば、彼らをすべて害することなく、常に速やかに罪悪への欲望から離れさせますように。
 地・水・火・風・薬草及び樹木を用いるように、常に衆生がすべて欲するままに妨げなく(我を)用いる者となりますように。
 衆生を自己の生命のように愛し、さらに、自己よりも彼らをより以上に愛しますように。自らに彼らが悪を結果づけても、自らの善は余すところなく、彼らに報われますように。
 衆生がたとえ僅かであっても未だ解脱していない限り、そのために、無上の覚醒を得ても、輪廻にとどまる者となりますように。

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