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解説「菩薩の生き方」第四回(3)

 もちろんね、縁っていうのはありますよ。縁っていうのは、そうだな、まあ縁っていうよりは――そうだな、縁とも言えるし、魂の段階とも言える。――慈悲っていうのはさ、あるいは菩提心っていうのは、ある程度、なんていうかな、やっぱり強くなきゃできないんだね。ある程度自分の中に悟りとか、あるいは心の広さがないと当然できませんよね。だからまずは一番最初の、エゴの破壊、これのみに、まずわれわれの魂の段階っていうのは集中するんだね、最初はね。だから輪廻転生をいっぱい繰り返して、でもまだあまり修行経験がない魂っていうのは、まず最初はエゴの破壊のみに集中する。慈悲とかはあんまり関係ない。あるいは至高者とかも関係ない。ただ自分の煩悩とか、あるいは自分のその乱れた感情をいかに克服して、ね、本来の魂の状態を取り戻すか、そこだけに集中するんですね。で、この段階にいる人にとっては、あんまり慈悲とか言ってもよくわからない。あるいは菩提心とか言ってもあまりピンとこない。これはまあしょうがないと言えばしょうがないんだけど。
 ただ皆さんは、わたしはそうじゃないと思う。まあ、そうじゃないと思うっていうか、結果としてそうだからね。いつも言うけど、口でなんと言おうと、結果がすべてですから。現象がすべてですから。
 前も、面白かったよね、インドで。Sさんっていう生徒さんがいるんですけど(笑)、Sさんが――Sさんっていうのは、ちょっとここで知らない人のために説明すると、

(一同笑)

 ――まあ本来はね、すごく心が純粋で、まあバクティ的な素質もある人なんだけど、ちょっとこう、表面的に、ひねくれたみたいな態度を取ることが多いんだね、Sさんっていうのはね(笑)。で、インドでヴリンダーヴァンっていうね、クリシュナの聖地、バクティの聖地に行ってきて、そのあとに、「ヴリンダーヴァンどうでしたか?」って聞いたら、「いやあ、正直よくわかんなかったっすね」みたいな(笑)。

(一同笑)

 で、なんかああだこうだ言ってるわけだけど。で、そこでわたしが言ったのは、「でもSさん、行ってるじゃん」と、「ヴリンダーヴァンに」(笑)。ね。「で、なんだかんだ言いながら、聖なるヤムナー川に入ったじゃん」と(笑)。「それがすべてだ」と。ね。つまり口でなんだかんだ言っても、ヴリンダーヴァンっていわれるね、クリシュナの最大の聖地に行ったっていう現象ね。あるいは、「沐浴よくわかんねえ」とか言いながら、「入ってるじゃん」と(笑)。

(一同笑)

 その現象自体が、なんていうかな、Sさんが実際はバクティの道ととても縁があって、心が求めてる証拠なんだね(笑)。
 だからそれがすべてなんです。だからそれと同じように、皆さんが今ここにいて、こういう教えを聞けること自体が、もともとその縁があるっていうか、一応その準備が整ってるんだね。それにどれだけ気付いてるかとか、あるいは――つまり今生ね、いろいろけがしてしまった心があるだろうから、それが、そのヴェールがどれだけ取れてるかによって違う。うん。例えば前生から偉大な菩薩だったとしても、今生すごいエゴイスティックな人生を送っちゃったとしたら、当然よくわかんないわけだね。わたしが「慈悲、慈悲」とか「菩提心」とか言っても、「そんなのよくわかりません」と。
 わたしはよく、無料体験でもそういうのに出会うことがある。例えば、まあ最近はわたしは無料体験はやってませんけども、昔よく、わたしが、直接ね、無料体験をやってたときに、慈悲の瞑想とかやらせるわけですね。この中でもわたしが無料体験やった人、何人もいると思いますが。慈悲の瞑想とかやると、人によっては最初から涙を流す人がいる。あるいはピンとこない人ももちろんいる。逆に、拒否する人もいるんだね。拒否するっていうのは、「ちょっとできません」と。「なんかよくわかりません」と。心が嫌がってできないっていう人もいるんだね。でもわたしが思うにはね、仮にそういう人であっても、当然ね、実際は菩薩の縁があるんです。もう来たっていうこと自体がね。無料体験に来ましたと。で、トンレンの慈悲の瞑想を教わった時点で、もうその人は実際は菩薩の縁があるんです。でもおそらくあまりにもけがし過ぎちゃったんだろうね、今生ね。だから、本当は懐かしいはずの、本当は心の奥ではわかってるはずの、慈悲の教え――つまり、みんなの苦しみを自分のものとして、自分の幸せをみんなにあげましょうっていう教えを、もう拒否してしまうぐらいに心がけがれてしまったと。ね。だからそれがどれだけ取れてるか、もしくはあまりけがさなかったか、あるいはけがしたけども修行によって取れてきたかによって、こういった教えがどれだけ心に響くか、あるいは心が理解するかっていうか、が違ってくるというのはあるよ。あるけども、もう一回言うけども、まあ、おそらくみんなが持ってます、それは。共通してね。これが素晴らしいっていう、魂の理解っていうかな、潜在意識の理解みたいなのはね。
 はい、ちょっと広がっちゃいましたが。だから発見していくものだっていうことだね、ここはね。だから皆さんも将来的に――これもだから一つの悟りと言ってもいい。悟りっていう言葉っていうのはすごく幅広いわけだけども、皆さんが、「あ、やっぱり菩提心しかないな」っていうことに気付いたとしたら、それは一つの大いなる悟りです。

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