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解説「菩薩の生き方」第二十四回(6)

 「この煩悩という盗人の群は、我々への通路を探し求め、ひとたびそれを発見すれば、我々の旅費を奪い、幸福へ向かう生命を断つ」と。はい。この「通路を探し求め」――つまり、例えば商人が旅をしていて、で、逆に当然強盗たちは、そのようなお金や価値ある物質を持ってる者たちを探してるわけだね。で、なんとか探して見つけたら、そこに至る通路、あるいは罠というかな、どうやって彼らから奪おうかということを模索し、行動に移すと。そしてひとたびそれが成功したときには、その商人たちのお金とか商品を奪ってしまうわけだけど。同様に、この煩悩というのも、まずわれわれへの通路を探し求めるんだと。
 これはさ、いつもよく言ってる、これは悪魔と言い換えてもいいわけだけど、魔というのは、悪魔というのは、皆さんの心がけがれること、あるいは例えば帰依が弱くなるとか、あるいは、そうですね、真理への思いが薄れるとか、あるいはさっきから言ってる理想的な心の状態が駄目になるとか、そうなるように悪魔はいつも狙っています。でも、普通は真正面から何か来ても、ある程度は皆さん、ね、最低限の正智はあるから、いきなり変にはならない。だからじわじわと、まさに通路を探し求めてるんだね。彼の心に忍び込むにはどうしたらいいんだと。つまりいつも言うように、正面からっていうよりは隙を突かれる感じで、徐々に徐々に皆さんの心は悪魔に侵食されていくわけだね。で、気付いたときには、「旅費を奪い、幸福へ向かう生命を断つ」ってあるけど、この例えは、つまりある旅人がいて――まあ、「入菩提行論の歌」では「路銀」ってなってるけど、まあこれは古い訳で路銀ってあるんですけど、路銀って旅費のことですね。つまりある場所まで旅するためには、当然、昔の場合ね、ある程度の、銀であったり金であったり、そのような旅費が必要であったと。それらがなければ、そこまで旅ができないと。で、ある人が、幸福の世界、幸福の浄土に向かおうと旅をしてるわけだけど、その徳とか、あるいはグルや仏陀との縁とか、あるいは修行における素晴らしい要素っていう路銀を皆さん今持ってるわけだね。これを大事にして、これによってどんどんどんどん、聖なる境地に向かおうとしてると。で、この旅の必須の要素である聖なる路銀を悪魔は狙ってるわけですね。つまりさっきから言ってるように、そのような帰依がなくなること、あるいは心の浄化された状態がどんどんけがれていくこと、あるいは教えが心からどんどん吹っ飛んでいくこと――これを悪魔は狙ってる。そうなったら、その聖なる境地に行けないから。これがこの例えね。

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