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要約・ラーマクリシュナの生涯(36)「カーシープル(コシポル)のガーデンハウス」(3)

◎ある夜の出来事

 信者たちによる師への日々の奉仕が軌道に乗り、余裕ができてきたとき、ある夜ナレンドラは、用事のために一日二日帰宅するつもりであると、法友たちに告げた。それから床に入ったが、なかなか寝付けなかった。すぐに起き上がると、数名の法友も起きているのを見て、ナレンドラは彼らに言った。「さあ、庭を歩こう。」
 歩きながら、ナレンドラは言った。
「師のご病気はきわめて深刻だ。肉体の衣を脱ごうと決めておられるのかもしれない。時間のあるうちに、師へのご奉仕と祈りと瞑想によって、霊的な悟りに至る最善の努力をするのだ。さもなければ師がお隠れになった後、計り知れない後悔をすることになるだろう。
 この仕事を終えてから神に祈ろうとか、あれを終えてから神に祈ろうなどと愚かにも考えて、われわれは時間を無駄に過ごしている。それだから欲望の網に絡め取られてしまうのだ。こうした恐ろしい欲望が、われわれを破滅に導くのだ。そんな欲望は捨ててしまえ! 根こそぎにするのだ!」

 それは寒い冬の夜であった。無限の星空が、地上を見下ろしていた。彼らは樹下に座り、瞑想を始めた。

 しばらくすると、乾いた藁や枯れ草、折れた枝などが積まれているのが目に入った。ナレンドラは言った。
「火をつけよう。サードゥが聖火を燃やす時間だ。われわれも聖火を燃やして、欲望を焼き尽くそうではないか。」

 火をたき、まきをくべながら、自分自身の欲望を供物として捧げているのだと思い描くと、皆の心は、すばらしい至福を経験した。世俗的な欲望が破壊されて、心が清く澄み切って神に近づくのが感じられたのだった。

 翌朝、この素晴らしい一夜の出来事に参加できなかった法友たちは、話を聞くと悔しがった。ナレンドラは彼らを慰めて言った。
「計画していたわけではなかったし、あのような至福を経験するとは思っていなかったのだ。心配するな。これからは、時間が見つかったらまたドゥニを燃やそう。」

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