要約・ラーマクリシュナの生涯(26)「バーヴァムカにあるラーマクリシュナ」⑤
◎深い愛のアドヴァイス
また、ラーマクリシュナが弟子や信者たちに与えるアドヴァイスや振る舞いは、ときに冷たく見えたり、意味が分からなかったりすることもあったが、実際にはその裏に常に深い愛が込められていた。ここで一つだけその例をあげよう。
カルカッタに住む信者のマニモハン・マリックの息子が死んだ。彼は息子の火葬を終えると、師ラーマクリシュナのもとへやってきた。事情を知ると、そこに居合わせた者たちは様々な言葉を投げかけて彼を慰めようとした。
しかしラーマクリシュナは、マニモハンが自分の悲しみを吐露している間も、全く無関心のように振る舞い、何も言葉を発しなかった。これを見てある人々は驚き、ラーマクリシュナは何と冷たいのだろうと思った人もいた。
しかししばらくすると、ラーマクリシュナは徐々に神聖な半意識の恍惚状態に入っていった。そして突然、レスラーのようなポーズで、右の手のひらで自分の左腕を打ち、立ち上がると、かつてないような力強さで歌い出した。
おお人よ、戦いの準備をせよ。
【死】が隊列を組んでお前の家に入るのを見よ。
偉大な美徳という二頭立ての戦車に乗り
それに信仰と霊性の修行という二頭の馬をつけ、
完全なる神の叡智の弓を張って、
神への愛という誤りのない矢をつがえよ。
聞きたまえ、ここにもう一つの良い戦略がある。
すべての敵は、戦車も御者も持たずに殺され得るのだ。
もしダーシャラティがバーギラティーの堤を戦いの場とするならば。
このラーマクリシュナの歌と力強い身振りは、そこに居合わせたすべての者たちの胸に、素晴らしい希望とエネルギーの流れを生み出した。彼らの心は悲しみと迷いの領域から持ち上げられて、神の至福に満たされた。マニモハンもまたそれを経験し、息子を失った悲しみは消え、至福と平安を感じた。
ラーマクリシュナの歌が終わってからもしばらくの間、その素晴らしいムードは部屋を満たしていた。