曼荼羅供養
第六章 瞑想
1 曼荼羅供養
曼荼羅供養は、流派によって細かいやり方の違いがあるが、基本的にどのやり方でもよい。
ここでは、一つのやり方を紹介しましょう。
10万回の達成を目指すようにします。
準備として、以下のものを用意します。
・丸いお盆など
・お米
・香りをつけた水(普通の水でもよい)
・膝の上に敷く布
①左手で曼荼羅(お盆)を持ち、
「オーム・ヴァジュラ・ブーミ・アー・フーム」
と唱えながら、右手の甲でお盆の上を磨く。右回りに3回、左回りに1回。
②右手の薬指に水をつけ、親指を使って曼荼羅の上に水を3回はじく。
③「オーム・ヴァジュラ・レーケー・アー・フーム」
と唱えながら、曼荼羅の外周にぐるっとお米をまく。
④「外輪鉄囲山から立ち現われたフーム字、変じて山の王者スメール山」
と唱えながら、曼荼羅の中央に米の山を置く。
⑤「東のヴィデーハ州」
「西のゴーヤーナ州」
「南のジャンブ州」
「北のクル州」
と唱えながら、曼荼羅の東西南北に米の山を置く。
⑥次に、それぞれの方角の州の両側に、付随する島をあらわす名前を唱えながら、米を置いていく。それぞれの方角に対応する島は以下のとおりである。
東・・・「デーハ」と「ヴィデーハ」
南・・・「チャーマラ」と「アヴァラチャーマラ」
西・・・「シャータ」と「ウッタラマントリン」
北・・・「クル」と「カウラヴァ」
⑦次に、さらにその内側の東南西北に、次のように唱えながら、米を置いていく。
「宝の山」「如意樹」「如意牛」「自然稲」
⑧次に、さらにその内側の東南西北とその中間位に、次のように唱えながら、米を置いていく。
「輪宝」「象宝」「マニ珠宝」「馬宝」「明妃宝」「将軍宝」「大臣宝」「富貴瓶」
⑨次に、さらにその内側の東南西北とその中間位に、次のように唱えながら、米を置いていく。
「ラーシャー」「プシュパー」「マーラー」「デューパー」「ギーター」「アーローカー」「ヌリティヤー」「ガンダー」
⑩次に、さらにその内側の東南西北に、次のように唱えながら、米を置いていく。
「日」「宝の傘」「月」「勝利の旗」
⑪次に、
「グルとすべての如来方に供養いたします。」
と唱えながら、曼荼羅全体にさらに米を振りまく。
⑫こうしてできた曼荼羅を足掛かりにして、三層の曼荼羅の観想を行なう。
まず、今米によって作ったこの曼荼羅は、スメール山を中心としたわれわれの住むこの宇宙をあらわす「変化身曼荼羅」である。
その変化身曼荼羅の上に、神々の浄土を飾る宝飾と、五感の天女たちで満たされた「報身曼荼羅」を観想する。
さらにその上に、輪廻とニルヴァーナ、現象と空が同一であることを知るこの上ないゾクチェン、マハームドラーなどの見解が供物として置かれた、「法身曼荼羅」を観想する。
⑬そして次の詞章を唱える。
「オーム アー フーム
小宇宙と大宇宙のすべてに
七種の宝と神と人の富を満たし
私の身体と徳を添えて捧げますゆえ
真理の法輪たえることのない世界をお与えください。
空性大楽に満ちるアカニシタ天に
五つの根源的智慧の印 五種の堆積を置き
おびただしい五感の天女の雲を添えて捧げますゆえ
報身の世界に参入できますように
清浄な姿 童子の身体に
不滅の慈悲あふれる戯れの宝飾を整え
金剛身と心滴が知る浄土を添えて捧げますゆえ
法身の世界に参入できますように」
⑭最後に、
「願わくば、この功徳によって、一切の衆生が救済されんことを」
と唱えて、膝に敷いてあった布の上に、曼荼羅の上の米をこぼす。