安らぎを見つけるための三部作 パート3(1)「夢」②
すべては存在しないのに
苦しみか喜びのどちらかが、そこで経験されます。
過去になしてきた行為に基づいて、身体、地位、苦楽の範囲、その他が決定される。
つまり自己がなしてきた善に基づいて幸福が、悪に基づいて苦しみが経験されるのです。
さまざまな絵の具の色合いによって作られた一つの絵のように、
過去に自分自身がなしたさまざまな善悪の行為によって、現在のさまざまな苦楽の模様があります。
こうして一つの心が、輪廻という夢の中で、さまざまな姿であらわれる。
そしてそのあらわれを真実と錯覚することによって、
誤ったあらわれは、止まることなく流れつづける。
ああ!
架空のものの集積にすぎない、この「現実」と呼ばれる世界は
まさに夢のようなものなのです。
さまざまなあらわれに満ちた、この夢のような世界。
通常の認識作用が消え、睡眠に入ったときにあらわれる夢の世界は
単なる内的情報が作り出す、偽りのあらわれにすぎません。
同様に、この現実と呼ばれる世界の経験も、すべては心が見ている偽りの夢であり
このただ一つの心の本性以外に、他の何ものも、どこにも存在しません。
すべての外界のあらわれは、勝者(ブッダ)が「誤った概念による幻影」と呼んだものなのです。
まさしく、麻薬を飲み込んだときのように
多様にあらわれるすべての現象は、幻覚に過ぎません。
われわれは、本質的な正しい認識力を失っているので
心の前にあらわれるすべての存在は、誤りなのです。
輪廻の六つの世界の生命体も
本当のことを言えば、どこにも存在していません。
この真実を、ただちに理解してください!
誤った概念により、誤った現われに対して、誤った干渉をし始めたそのときから
その誤りは、どんどん増大し続けてきました。
真実も誤りも超越した、非二元性の智慧
独存する内在的なその智慧を、確実に悟らなければなりません。
六道もなく、六道の衆生もいない
この広大な広がりの中で
何が何から解脱するのでしょうか
空の広がりのような、仏陀の心を知ってください。