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奉納品

 グルと非常に率直で個人的なつながりを持たなければならない。心から敬愛する精神の友(グル)に二千万ドル捧げようとも十分ではない。捧げるべきはあなたのエゴ。生命の流動体である自分の果汁をこそ捧げるべきなのだ。髪の毛や爪も彼への捧げものとしては不十分だ。もっと潤いのある部分、つまり本当の核をこそ明け渡さねばならない。所有するもの全部――車だとか衣服、家屋、金銭、コンタクトレンズ、入れ歯などを与えても足りない。そうしたものすべてを所有する自分自身を与えるというのはどうだろう? ところがあなたはまだへばりついたまま。何とも情けない話だ。

 ヴァジュラヤーナでは特に、グルはあなたが自分というものを捧げるのを待っている。肌とか肉をはぎ、骨をバラバラに抜き出して心臓をつかみだすことでさえ十分とは言えない。まだ残っているものがあるのだ。それこそ最高の奉納品である。

 五本の指の一本を与えることで人は鼻高々になったりする。「グルに耳を切り取って捧げました。」あるいは「帰依の表明として鼻をそぎ落としたよ。僕がどれほど真剣かという証として受け取ってくれたらなあ。その真価を認めてほしいな。だってそれは僕にとってはものすごい意味を持っているんだもの。」――狂気の智慧の具現者たるグルにとって、こうした犠牲はものの数ではない。ヴァジュラヤーナの【放棄】とは、もっと苦しく抗しがたく、かつ密なものである。それは完全なコミュニケーションのことだ。あなたが何かを隠していれば、グルとの関係性はまやかしで不完全なものとなり、いずれはあなたも彼も共にそれを見破ってしまう。

 ――チョギャム・トゥルンパ

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