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吉祥そのもの

 シュリー・ラーマクリシュナにお目にかかれたことは、なんとすばらしい出来事だったことか。当時の私は家庭で父や兄弟とうまくいかずにいた。最善を尽くしても、彼らからはひどい仕打ちを受けるばかりだった。精神的苦痛に耐えかねた私は、家を出て死を決意した。
 ある夜の十時、馬車を雇った私は妻と家を出た。姉が住むバラナゴルに行くよう御者に伝えたが、途中シャムバザールの近くまで来ると馬車の車輪が外れてしまった。仕方なく友人の家に向かったが、宿を乞われていると思った友人の態度は冷ややかだった。ようやく別の馬車を見つけた私たちは、真夜中にバラナゴルにたどり着いた。
 翌日の午後、甥のシドゥと散策に出かけた私は、ガンガーの河辺にある庭園を数軒見て回った。私は疲労と落胆から床に座り込んでしまった。するとシドゥが言った。

「おじさん。ラスモニの庭園に行ってみましょう。あそこには聖者が住んでいるのです。」   

 私たちはドッキネッショル寺院の庭の正門をくぐった。日暮れの半時間前だった。
 美しい花壇を前にすると、私の詩情は大きく高まった。つんだ花の香りに圧倒された。しばらくして私たちは、シュリー・ラーマクリシュナの部屋に入った。
 師は小さな寝台に腰掛けておられ、弟子たちは床に座っていた。私が知る人はいなかった。

「神の名を聞いただけで涙が流れ、髪の毛が逆立つようになれば、これ以上カルマを果たさなくて良いと確信してよろしい。」

 初めて耳にした師の唇から漏れる言葉だった。

 師に出会って7、8日後、カーリー寺院の中庭を歩いていた師にお尋ねした。

「このような苦悶にさいなまれるくらいなら、命を絶ったほうがましです。」

 師はすぐさま答えられた。

「なぜそんなことを言うのかね。お前にはグルがいる。どうして思いわずらうのだ。いつでもグルが背後にいるのだよ。グルが望みさえすれば、お前の苦悩は取り除かれるのだ。すべてを好転させてくれるのだ。
 千人もの人々の前で、手品師がたくさんの結び目のあるロープを投げて見せた。誰一人その結び目を解くことはできなかった。ところが手品師が片手でロープをぐいと引くと、結び目はすべて解けてしまったのだ。心配するな。グルがあらゆる障害を取り除いてくれるだろう。」

 激しい苦悩の果てに、とうとう私は師に出会ったのだった。師が私の人生を導いてくださったのだ!
 後に父がやってきた。我々は愛情に包まれて和解し、父は私を連れて帰った。神こそが吉祥そのものであることに後で振り返ると気づくのだが、我々は表面的に物事を判断してしまうものだ。家庭問題と自殺願望が私を神へと導いてくれたのである。

 --マスター・マハーシャヤ

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