単純な真理
仏典や聖者の経験として伝えられる、地獄の描写を見るならば、
その苦しみは激しく、長く続く。
肉体を切られ、焼かれ、つぶされ、
それが何度も続く恐怖、絶望感。
それが延々と、時には宇宙の長さ以上に長く続く。
普通に考えたら、絶対にそんな世界に落ちたくはないだろう。
そしてこの地獄へ堕ちる中心的要因は、怒り・憎しみ・嫌悪であるという。
だったらそれを捨てればいい。
これは単純な真理だ。
地獄の苦痛が嫌ならば、怒るな。憎むな。嫌悪するな。
それらが地獄の因であると、
この秘密の因果関係を、明快にブッダが説かれたのだから。
怒り・憎しみ・嫌悪を捨てなければ、地獄の苦しみは免れ得ない。
それは、衣服が燃えているとき、その衣服を脱ぎ捨てなければ、やけどを免れ得ないようなものだ。
腐ったものを口に入れてしまったとき、それを吐き出さなければ、腹痛を免れ得ないようなものだ。
そのように、因果関係はハッキリしている。
衣服が燃えているとき、衣服を脱ぎ捨てない人がいるだろうか?
地獄の苦しみを目の前にして、その因を捨てない人がいるだろうか?
しかし死後、地獄の苦しみが目の前に迫ってきたときに、怒り・憎しみ・嫌悪を捨てようとしても、もう遅いのだ。
今から捨てなければ間に合わない。
一瞬のけがれも、自己の心に許すな。
エゴの言いなりになるな。
エゴこそが、甘い言葉を語りつつ、私を何度も地獄に落としてきた、最悪の詐欺師なのだから。