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仏弟子の物語(7)「バッリヤ」

バッリヤ

 バッリヤは、今から三一カルパ前に、スマナという独覚に浄信を持って種々の果物を捧げた。その功徳によって善趣だけを転生し続け、世尊シキンの時代に、アルナーヴァティーの都のブラーフマナの家に生まれた。

 あるとき、世尊シキンが悟りを開いて初めての食事を、ウジタとオージタという隊商主の息子たちが供養したという話を聞いた彼は、一人の仲間と一緒に世尊のもとへ行き、礼拝し、食事に招待し、大いなる布施をして、願いを立てた。

「尊師よ。我々両名も、未来においてあなた様のような覚者に最初の食事を施す者となりますように。」

 そして彼ら二人はその生を終えた後、天界と人間界を何度も輪廻しつつ功徳を積み続け、世尊カッサパの時代に、牛飼いの長者の息子の兄弟として生まれて、世尊カッサパの出家教団に、長年にわたって牛乳を供養し続けた。

 そして世尊釈迦牟尼の時代には、その二人は、ポッカラヴァティーの都の隊商主の息子の兄弟として生まれた。兄はタプッサ、弟はバッリヤと名付けられた。

 成長したあるとき、二人は、五〇〇台ほどの車を品物で満たして商売に出かけていた。そのとき、世尊釈迦牟尼は、菩提樹の下で悟りを開いた後、順次場所を変えつつ、四九日間にわたって瞑想をし続け、その後、ラージャーヤタナ樹の根元に座っていた。その近くの大道を、タプッサとバッリヤの車が通り過ぎようとしていた。
 すると突然、道は平らで泥などもないにも関わらず、急に彼らの車が進まなくなった。いったいどうしたことかといぶかっていると、過去世で彼らの血縁者であったある神が、木の枝に姿を現し、こう言った。

「私の同族よ。世尊が悟りを開いてほどなく、四九日間食べ物を口にせずに解脱の楽を感受なさって、今はラージャーヤタナ樹の根元に座っておられる。そのお方に食事を差し上げて、敬意を捧げなさい。それは君たちにとって、長い間にわたる利益と安楽の因となるであろう。」

 それを聞いた二人は、大きな喜びに満たされた。そして、それほどの断食をした後では、通常の食事を差し上げたのでは障害になると考えて、麦菓子と蜜団子を供養した。そして仏陀とダルマに帰依し、世尊釈迦牟尼の最初の在家信者となった。

 その後、タプッサは在家のままであったが、バッリヤは世尊釈迦牟尼のもとで出家し、六神通を得たアラハットとなった。 

 その後のある日、悪魔がやって来て、バッリヤを恐れさせようと、恐ろしい姿を現した。バッリヤは次のように詩を唱えて、自分がすべての恐れを超越していることを悪魔に宣言した。

「激流がか弱いアシの堤を破るように、魔王の軍勢を破る者、彼は恐れを離れた勝利者である。なぜならば、彼は調御を得、安らぎに達し、安立しているからである。」

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