仏弟子の物語(3)「カンカー・レーヴァタ」
カンカー・レーヴァタ
カンカー・レーヴァタは、過去世において、世尊パドゥムッタラの時代に、ハンサヴァティーのブラーフマナの家に生まれた。
あるとき、世尊パドゥムッタラの説法会に出席した彼は、そこで世尊パドゥムッタラの弟子で瞑想を楽しむ者の第一人者である者を見て、自分もそのような者になりたいという願いを起こした。
そして説法が終わると、彼は世尊パドゥムッタラのそばに行き、『尊師よ、明日の朝、私の食事の供養をお受けください』とお願いし、世尊は承諾した。
そして彼は翌日から七日間、素晴らしい食事を、世尊パドゥムッタラとその多くの弟子たちに供養し、また素晴らしい衣も供養した。そして彼は世尊パドゥムッタラに、未来において出現する覚者のもとで出家をして、瞑想を楽しむ者の第一人者になりたいという願いを立てた。世尊パドゥムッタラはこう言った。
「遥かなる未来に、ゴータマという覚者が出現なさるだろう。そのお方のもとで、汝の願いは成就するであろう。」
この後、彼は人間界と天界に次々に生まれ変わりつつ、徳と叡智を積み重ね、仏陀釈迦牟尼が地上にお現われになったときに、サーヴァッティのブラーフマナの家に生まれ、釈迦牟尼のもとで出家して修行に励み、瞑想修行を基礎としてアラハットの境地を得た。
彼は偉大なる瞑想の境地に入り、昼夜にもろもろの瞑想を自在に行ずる者となり、お釈迦様の弟子の中で、瞑想を楽しむ者の第一人者となった。