ヨーガの基礎(8)
◎浄化法
はい、もうひとつ。これもやりたい人はやったらいいけども、浄化法というのがあるんです。これはね、今言った、まず肉体面から入るのがヨーガのアーサナなわけですが、現代の場合、けがれ過ぎてる場合。肉体が、ちょっとアーサナでも追いつかないぐらいの場合、例えば花粉症なんかもそうだけど、「呼吸法やりたいんだけど、先生、詰まってます」と。花粉の季節とかね。「はい、左鼻で吸ってください」――「全然通りません」と。ね。あるいはアーサナやって、「はい、息を吸って顔を上げてください」――「吸えません」と。ヨーガでは大体鼻を使うので、「はい、鼻ですよ」――「鼻、使えません」と。これじゃあどうしようもない。よって――まあ、鼻の問題だけじゃないけども――よりフィジカルな問題として、浄化法というのがあります。
で、これは今日はちょっとやらないので簡単に言いますが、みなさんも今日からできるものとして、いわゆる鼻うがいですね。塩を入れたぬるま湯で、鼻に通して逆から出す。もうひとつは鼻から通して口から出す。これは全然痛くないです。塩を入れてれば。塩でぬるま湯。だから鼻水とか汗とかと同じぐらいの濃度にしてぬるま湯だったら、全く痛くないです。だって鼻水が通ってるようなもんだから。これをガーッとやる。わたしはよく風呂の中でやるけどね。風呂に入ったままで――ちょっと汚いけどね(笑)――風呂の中でやると、だらーっと鼻水とかが風呂の中に入っちゃうから汚い。わたしは一人暮らしだからいいけど、家族と住んでる人はちょっと風呂の中ではやめた方がいいけど(笑)。がーっと出します。
これね、本当にやるとやらないとでは大違いです。すごいすっきりします。
で、この中でいるか分からないけど、より鼻が悪いっていう人、あるいは目でもいいです。目とか鼻がかなり悪いんですっていう人は、これはもしそういう人がいたらこれはやり方を教えますが、紐のネーティーっていうのがあります。これは今度は鼻に紐を通すんです。で、口から出すんです。で、しごくんです。これは痛いです(笑)。で、血が出てきます。でもいいからやり続けるんです。そうするとかなり鼻関係の、例えば鼻炎であるとか、あるいはこれで視力がかなり回復する例もあります。これも浄化法のひとつだね。
あと万能的によく使えるのは、大量の塩水を飲みます。で、それを吐きます。慣れてくるとこれね、うわーって簡単に吐けるんだけど、吐けない場合はのどに指を突っ込んで、お酒を吐き出すみたいにのどに指を突っ込んで、ちょっと嘔吐感を出してがーっと出します。これは現代医学的にいうと、いわゆる胃の洗浄だね。これを自分でやっちゃうんです。がーっと飲んで、ぐわーっとこう、ちょっとこうおなかを動かしたりしてばーっと吐き出す。これもかなり肉体的浄化にはいいです。
◎三つの体質
これは何でこういうことをやるのかっていうと、これもちょっと簡単にだけ言いますが、アーユルヴェーダで人間の体質というのを三つに分類してる。それは、カパ・ピッタ・ヴァータっていうんですが。
カパっていうのは、粘液が多い人です。つまり鼻水とかに代表される粘液が、見えないところにわれわれの中にいっぱいあります。これは必要なんだけど、多すぎると、カパの人ってどういう人かっていうと、ちょっと怠け者になります。怠け者になったり、例えばさっきの花粉症とかもそうだけど、粘液系の病にかかりやすくなる。あと鼻が詰まったり、いろんなところがちょっと詰まりやすくなります。
で、今度はピッタっていうのは、これは今度は逆に体が、いつものどが渇くとか、体が熱いとか、いろんな炎症性の病にかかりやすい人。これはピッタ系ですね。簡単にいうとね。
で、ヴァータの人っていうのは、これは精神的には非常に落ち着きがない。ころころころころ言うことが変わるとか、あるいはすごく不安感があったり、あるいはちょっと興奮したり落ち込んだり、そういうのが非常に激しい人。これはヴァータ的な人ですね。
◎日常的な浄化法
で、これは人体の分泌であるとか、エネルギーのアンバランスからくる状態なんですが、これが偏りがひどすぎるとさっき言ったようにいろんな病気が出たり、あるいはヨーガが非常にやりにくい状態になる。で、これは今言った鼻を洗ったりとか、大量に水を飲んで出したりとか、まあ他にもいろいろあるんですが、いろいろそういうのをやることによって、ある程度そのバランスがとれていきます。だからこれも、絶対やらなきゃいけないっていうわけじゃないけども、自分がそういうアーサナ以前に肉体的に問題があるとかいう場合は、この浄化法もやったらいいね。
わたしがいろんな人に教えてきた経験でいうと、特に女性ははまる人が多いです、浄化法に。なぜかというとね、すごくすっきりするんです。例えば塩水を大量に飲んで吐きますよね。今こういう話を聞いて、「え? なんだそりゃ」って思うかもしれないけど、よく考えてください。「超うがい」って感じです(笑)。ここ(喉)までやっているうがいをここ(お腹)までやってる。
例えば皆さん、朝、歯磨きをする。うがいをする。これが日常化していると、一日でもそれをしなかったら気持ち悪いでしょ。それとおなじ感覚。だから「こんなにここがすっきりするの?」って分かっちゃうと、一日でもそれをやらないとちょっと気持ち悪い。あるいは、鼻をしっかり洗うっていうのをやらないと、ちょっと鼻がいつもむずむずして気持ち悪い――って感じになってきます。だからこれもやりたい人はやってください。
インドに行くとよく普通に、インドの家庭の庭とかでよくやってたりするんだね。普通にわれわれが歯を磨いたりするのと同じような感覚で、鼻を洗ったりとか。
わたしも前、ヴァラナシっていうインドの聖地に行ってね、ヴァラナシのガンジス河ってヒンドゥー教徒にとっては最高の聖地なんです。で、わたしもそこに入ってこう沐浴してお祈りしたんだけど、水がね、超汚いんだね。聖地なんだけど、水は物理的にいうと非常に汚い。近くに火葬場とかもあるから、その焼いた人間の灰とかもずーっと流れてる。インドっていうのはごちゃ混ぜで非常に面白い国なんだけど、その最大の聖地の河でお祈りをしていると、横でもヒンドゥー教の人とかがこうお祈りしてるんだけど、そのすぐ横で普通のおじさんが入ってきて体洗ってる(笑)。その同じ横で沐浴している水で体を洗ってて、まあそれだけならいいんだけど、何するのかなと思ったら、その水をですよ――腰までこうつかってて、その河の水をいきなり飲みだして、がーっと飲みだして、喉に指を突っ込んでばーっと吐き出した。「あ、浄化法やってる!」と思ったんだけど、「その水でいいの?」って気もするんだけど(笑)。でも彼らにとっては大丈夫なんだろうね。日本人がそんなことやったら、逆にちょっと病気になっちゃうかもしれないけども。そういう感じで、もう日常化しているんです。歯を磨いたり体を洗ったりするのと同じようにね。ただこれもやりたい人はやってください。
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