モトゥルナート・ビスワスの生涯(9)
モトゥルは最大限の敬意を表し、シュリー・ラーマクリシュナを神のように扱った。これはエゴから解放されておられるシュリー・ラーマクリシュナには、少しの影響も及ぼすことはなかった。師の超人的な気質を見るにつけて、モトゥルはあるとき、こう宣言した。
「フリダイ、わたしの妻、子供、富、地位、あらゆるものは存在しない。シュリー・ラーマクリシュナお一人だけが実在だ。」
モトゥルとシュリー・ラーマクリシュナは、普通でない関係を築いた。モトゥルはシュリー・ラーマクリシュナを、ときには精神的な父親として、また別のときには純真な気苦労のない少年とみなした。シュリー・ラーマクリシュナは、しばしばモトゥルを自分の子供、あるいは弟子として扱われ、またあるときには自分自身を聖母の息子、そしてモトゥルを彼女の財産の管理人であるとお考えになった。このムードで彼はモトゥルに命令をお与えになっていたのだが、世俗的にはモトゥルが雇い主であり、シュリー・ラーマクリシュナは雇用者であったのだ。
モトゥルが困難な状況の時はいつでも、彼は助けを求めて真っ直ぐに、ドッキネッショルのシュリー・ラーマクリシュナのもとへ行ったものだった。
あるとき、彼は自分の護衛に、敵対する地主の護衛と戦っている荒々しいギャングに加わるように命じた。一人の男性が殺されたという報せがモトゥルのもとに届くと、彼は正気を取り戻し、自分が訴えられるであろうことに気付いた。自分を守ってもらうように、彼は師に嘆願した。シュリー・ラーマクリシュナは彼を叱責なさり、おっしゃった。
「愚か者! おまえは毎日騒ぎを引き起こし、ここへ来てこう泣きつく。『わたしを助けてくれ!』とね。わたしに何ができるのだ? 行って、招いた結果に苦しみなさい。」
しかし最終的には、モトゥルの深い苦悩を見てとって、師はこうおっしゃった。
「やれやれ、母のご意思のとおりになるよ。」
そしてモトゥルは逮捕から逃れられた。
別の折、モトゥルが訴訟に巻き込まれていたとき、自分の腹づもりをシュリー・ラーマクリシュナに教えずに、自分のために聖母へ花を捧げていただくように彼に求めた。彼はシュリー・ラーマクリシュナをとおして母の恩寵を受けることができるだろうと固く信じていた。師は疑うことなく花をお捧げになり、モトゥルは訴訟に勝利した。
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