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マルパの生涯(9)

 そしてマルパはナーローパに、マイトリーパに会いに行く許可を求めました。ナーローパは喜んで許可を与えました。マルパはグル・ナーローパを喜ばせるために供物を捧げ、ダーカ、ダーキニー、ヴァジュラの兄弟姉妹たちに、祝いのトルマを捧げました。彼は、障害なく、多くの不思議なサインが現われるようにと祈りました。そして彼は出発したのでした。

 道の途上でマルパは、他の旅人たちに、マイトリーパはどこに住んでいるのか尋ねました。彼らは答えました。
「彼は、燃える炎の山の僧院に住んでいる。そこへ行くのは難しい。行かないほうがいいよ。」
 マルパは考えました。
「わたしはこの人生において、富を探しているわけではない。死のうが死ぬまいが、わたしはダルマを求めなければならない。」
 彼はためらうことなく進んでいき、半日で、マイトリーパが住んでいる場所に着きました。彼はバンヤン樹の木陰に座っているマイトリーパに会い、ちょうどサダープラルディタ菩薩がダルモードガダ菩薩に会ったときのような、大いなる喜びを感じました。彼は完全な五体投地を七回行い、金その他を供養し、マイトリーパの身口意を称賛する、この歌を歌いました。

 ジャンブ州の衆生を利するために、
 あなたは王家に生まれました。
 あなたは外と内の様々なサーダナーをご存知です。
 わたしはあなたに礼拝いたします、マイトリーパよ。

 聖ターラーはあなたに予言と
 障害なき祝福を与えました。
 あなたは、主シャヴァリの御足の塵に触れました。
 わたしはあなたを称賛いたします、アヴァドゥーティよ。
 
 あなたのお体は、貴重な黄金の山です。
 あなたの叡智、発願などは、純粋です。
 あなたは、煩悩という病を鎮めます。
 わたしはあなたを称賛いたします、ダルマの太陽よ。

 あなたの心の空性のヴァジュラは
 自我への信という大いなる山脈を粉々にします。
 あなたにはすべてのダルマの性質が見えます。
 わたしはあなたを称賛いたします、比類なき主よ。

 すべてのジャンブ州の飾りであり、
 ヴァジュラサットヴァの精髄であり、
 衆生の避難処であり、慈愛という宝をお持ちになっているニルマーナカーヤ、
 わたしはあなたを称賛いたします、頭頂の飾りよ。

 人間、霊、そして悪魔たちの群れの中で、
 すべての悪しき者たちは、例外なく、
 あなたのヨーガ修行によって、あなたの命令に従います。
 わたしはあなたを称賛いたします、ヴァジュラを持つお方よ。

 親切なスガタであられるグル方よ、
 あなた方は、聖なるダルマを実践するために、すべてを捨てました。
 マハーパンディタ・ナーローパ、そして他のグル方から
 わたしは教えを受け、
 そして、タントラの学習を終えました。

 南の沸騰する毒の湖にある山の島で、
 わたしが、シュリー・シャーンティバドラの御足のもとにとどまっていたとき、
 聖なるお方よ、あなたは私を受け入れてくださいました。
 命の危険も顧みず、わたしはあなたに会いに来ました。
 
 燃える炎の山の僧院の
 バンヤン樹の涼しい木陰で
 師であり、王子であるマイトリーパ
 父なる仏陀よ、今、わたしはあなたにお目にかかります。

 太陽のように信が昇り
 わたしは、死んでもいいくらいに、信によって感動しています。
 わたしは偽りなく懇願いたします。
 どうか、ずっとわたしを祝福してください。

 あなたは偉大なブラフマンの伝統を持ち
 化身であられる主シャヴァリとともに住んでおられました。
 彼らによってよく説かれた聖なるダルマを、
 すべてのヤーナの頂点の精髄の意味を、
 極端のない、空間のようなマハームドラーを、
 わたしにお与えください。

 
 マルパはこのように懇願しました。
 マイトリーパはマルパを受け入れ、彼に完全なアビシェーカと、ヴァジュラチッタという秘密の名前を与えました。マルパはマイトリーパを喜ばせるために供物をささげ、ダーキニーたちを喜ばせるために祝いのトルマを並べました。これによって、多くの不思議なサインが生じました。
 マイトリーパはマルパに、マハームドラー、アーリヤマンジュシュリー・ナーマ・サンギーティとその解説、そして説明付きのドーハーの、口頭の教えと直接伝授を与えました。マルパの疑念は完全に取り払われました。これらの教えを修行すると、彼の心に優れた経験と悟りが生じ、彼はとても喜びました。マイトリーパに感謝として捧げたガナチャクラのときに、マルパは彼の悟りと経験を、歌のかたちで表現しました。

 けがれなき蓮華、太陽、月の上の
 私の頭頂の上の至福の宮殿に
 愛する守護者、グルが住んでおられる。
 どうか、わたしの心に祝福をお与えください。

 過去・現在・未来のすべてのブッダ方
 そして無数のイダムと神々たちは
 あなたから分離できるものではありません。
 栄光あるアヴァドゥーティよ。
 わたしの心の蓮華の上におとどまりください。
 わたしに、言葉を自在に支配する力をお与えください。

 インドという純粋な国に
 マハーパンディタ・ナーローパと他の方たちが住まわれている。
 それらのシッダたちの御足の塵に
 わたしは頭頂で触れました。
 
 タントラの多くの言葉を聞きましたが、
 これによってすら、わたしは満足しませんでした。
 それゆえ、わたしはジェツンのもとへ来て、
 聖なるダルマの祝福をきちんとお願いしました。

 特にわたしは、マハームドラーを請いました。
 わたしが知っていた教えについての疑いが断ち切られました。
 わたしが知らなかった教えを学びました。
 主サラハの伝承にある
 至福と悟りが、すかさず起こりました。

 わたしは歌を歌って、わたしの悟りを主に供養します。
 外的・内的の様々なすべての学派は
 マハームドラーの中で実現され、一体となるのです。
 人を惑わせる無限の現われのすべては、
 平等の統一の顕現として生起します。

 この絶えることのないダルマターは
 遮るもののない、自己を照らす正観です。
 生来の正観の中で、一つであること、
 自然に生じる智慧が見解なのです。

 流れる川のように、三つの時の中で区別することのできない
 後瞑想の四つの活動を通して
 このヨーガは透明に輝き、曇りがありません。
 瞑想とは、注意の散漫がないことです。

 身体と言葉と心と三つの時というダルマは、一つの飾りで飾られた、
 予測することのできない多様なものです。
 途切れることがなく、努力が要らず、本質は同じです。
 行為は幻です。

 悟りの本質は、
 同時に生起し、付け加えたり差し引いたりするものが何もない「今であること」です。
 自己解放、生来の大いなる至福、希望と恐怖から解放されていることが、果報です。

 どれほど多くの言葉を聞くかに関係なく、
 最後には、土台はダルマカーヤとして認識されます。
 最後には、わたしの疑いは尽き果てます。
 最後には、困惑の土台と根は破壊されます。
 わたしは、詭弁による解脱を望みません。

 このように、偉大なる主である師の前で、
 本質を修行する果報を通じて、
 そしてもろもろの系統の祝福を通じて、
 わたしはこの理解、経験、そして悟りを捧げます。
 願わくば、ジェツン・グルと、ここに集まった法友たちが喜びますように!

 このようにマルパは歌を供養しました。
 マイトリーパはマルパに、この12の教えのヴァジュラの歌を歌いました。

 おお、息子よ、もし帰依の根がしっかりしていないと、
 非二元という根はしっかりしないだろう。

 もしあなたが偏りのない慈悲を培わないなら、
 二つのルーパカーヤは達成されないだろう。

 もし三つの智慧を修行しないなら、
 悟りは生じないだろう。

 もしあなたがジェツン・グルに仕えないなら、
 二つの成就は達成されないだろう。

 もしあなたが心の根を断ち切っていないなら、
 不注意により正智を捨ててはならない。

 もしあなたがムドラーで現象を打つことができないなら、
 大いなる至福に引きこもってはいけない。

 もし欲望的思考が生起したら、
 あなたは、喜んでいる象のようにふるまわなければならない。

 もしときどき煩悩が生起するなら、
 心を見て、散漫になることなく瞑想しなさい。

 もし心が不都合な条件で害されているなら、
 四つのアビシェーカを頻繁に実行しなさい。

 もし煩悩があなたの中に生じるなら、
 グルの教えを思い出しなさい。

 もし一心に懇願しないなら、
 どうして神聖な者の意図をかなえることができようか?

 もしあなたがウトパッティとサンパンナクラマの合一の中で瞑想しないなら、
 どうしてサンサーラとニルヴァーナの不可分性を悟ることができようか?

 これが12の教えのヴァジュラの歌である。
 これを覚えることが13番目である。

 もし、これらのヨーガを修行するなら、
 13番目のブーミにとどまるであろう。

 マイトリーパはこのように歌いました。
 マルパはこの教えに歓喜し、それを完全に理解しました。そしてマイトリーパへのゆるぎなき信を持ってマルパはそこを去り、プッラハリのナーローパのもとへと帰りました。

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