マハームドラーの概要

マハームドラーの概要

ナーロー

　偉大なる至福の境地に礼拝いたします！

　第一に、認識のマハームドラーの性質を述べよう。
　いわゆるマハームドラーに関しては
　すべてのものは、あなた自身の心である。
　それらが外側にあるとみなすことは、誤った概念である。
　夢のように、それらには具体性がない。

　第二に、正智のマハームドラーの性質を述べよう。
　この心は、同様に、実体のない注意の、単なる変化である。
　それは単に一陣の風のようである。
　アイデンティティがなく、空間のようであり、
　すべてのものも、同様に空間のようである。

　第三に、合一のマハームドラーの性質を述べよう。
　「マハームドラー」について話すとき、それは示されることのできるアイデンティティではない。
　したがって、心の真如は、それ自体がマハームドラーの境地である。

　このように、認識、正智、そして合一の三つを通して、見解のマハームドラーを教示した。

　次は、瞑想のマハームドラーの三つのポイントである。
　最初に、土台の境地のマハームドラーの性質を述べよう。
　それは、修正される何かでも、変化させられる何かでもない。
　しかし、誰でもその本性を見、悟るとき、
　あらわれ、存在するすべては、マハームドラー、偉大であり遍在するダルマカーヤである。

　第二に、悟りのマハームドラーの性質を述べよう。
　自然に、そして考え出されることなく、ただあるという状態に置かれる、
　この想像できないダルマカーヤ、
　それを探し求めることなくあるようにすることが、瞑想修行である。
　しかし探し求めて瞑想するなら、それは欺かれた心である。

　第三に、不可分なるマハームドラーの性質を述べよう。
　ちょうど空間と同様に、ちょうど魔術のあらわれと同様に、
　作ることも、作らないこともないならば、
　どのようにしてあなたは、別々であり得るか、または不可分であり得るか！
　これはヨーギーの見解である。

　また、行為のマハームドラーについての三つのポイント、その最初に、自己解放のマハームドラーの性質を述べよう。
　すべての善行と悪行は、単にこの性質を知っていることによって溶解する。
　感情は、大いなる智慧である。
　ジャングルの火のように、それらはヨーギーの補助者である。

　第二に、一味のマハームドラーの性質を述べよう。
　とどまることと行くことが、どのようにあることができようか？
　庵に逃げることによって、どんな瞑想があるのか？
　これを理解することなく、考えられるあらゆる方法をおこなっても、
　それは、一時的な解放以上のものをもたらすことは決してない。

　第三に、不可分のマハームドラーの性質を述べよう。
　この本性を理解するとき、あなたを縛り付ける何があるだろうか？
　その継続から迷いがない間、
　治療による教化や修正のために、
　寂静でも混乱でもない境地がある。
　　

　また、成就のマハームドラーについての三つのポイント、その最初に、あらわれることと存在することのマハームドラーの性質を述べよう。
　それは、何ものからも作られない。
　自己解放の経験は、ダルマダートゥ。
　自己解放されていると考えることは、大いなる智慧である。
　不二平等は、ダルマカーヤ。
　
　第二に、輪廻とニルヴァーナのマハームドラーの性質を述べよう。
　大河の途切れなき流れのように、あなたがおこなうすべてのことには、意味がある。
　これは永遠の覚醒の境地であり、大いなる至福であり、輪廻の場所から立ち去らない。

　第三に、究極の完成のマハームドラーの性質を述べよう。
　すべてのものには、それ自身のアイデンティティがない。
　空性にとらわれた概念は、それ自身で溶解した。
　概念から解放され、心に何も持たない。
　それは本来、すべてのブッダ方の道である。

　結び

　最も幸運な者のために、わたしは、心からのアドヴァイスであるこれらの簡潔な言葉を作った。

　これを通して、すべての衆生が、マハームドラーに確立されますように。

　これは、プッラハリにおいて、マハーパンディタ・ナーローパよりマルパ・チューキ・ロドゥに口頭で伝えられました。
　完全なるマハームドラーを簡潔に示すこれら１３の詩は、それらの意味に従って分けられました。