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ボーディチッタを溶かし、四つの歓喜を生じさせる方法

5.ボーディチッタを溶かし、四つの歓喜を生じさせる方法

 四つの歓喜を生じさせる方法には、順観と逆観がある。

 順観とは、頭頂のマハースカ・チャクラから溶けだしたボーディチッタが滴り落ち、
 のどのサンボーガ・チャクラにボーディチッタが集まることで、「歓喜」が生じる。
 次にボーディチッタが胸のダルマ・チャクラに集まることで、「最高の歓喜」が生じる。
 次にボーディチッタが臍のニルマーナ・チャクラに集まることで、「超越的歓喜」が生じる。
 次にボーディチッタが性器の先端に集まることで、「サハジャの歓喜」が生じる。
 
 逆観とは、順観のプロセスの後に、ボーディチッタが臍のニルマーナ・チャクラに集まることで「歓喜」が生じ、
 次にボーディチッタが胸のダルマ・チャクラに集まることで、「最高の歓喜」が生じる。
 次にボーディチッタがのどのサンボーガ・チャクラに集まることで、「超越的歓喜」が生じる。
 次にボーディチッタが頭頂のマハースカ・チャクラに集まることで、「サハジャの歓喜」が生じる。

 この二つのプロセスを、何度も繰り返すのである。

 このプロセスを、単に観想ではなく実際に生じさせるには、チャンダーリーの火の修行によって体に熱を生じさせ、それによってボーディチッタ(精液)を溶かし、昇華させなければならない。

 ここでボーディチッタ(精液)を溶かして昇華させる際に、単に一人で瞑想によって行なう方法と、異性とのセックスを利用して生じさせた精液を、漏らさずに身体内に引き戻し、溶かして昇華させる方法がある。
 しかし後者の方法は難しい。単に射精をしなければいいというわけではなくて、身体内に引き戻した精液を溶かし、頭頂まで引き上げ、そして実際に体中のナーディに行きわたらせることができないと、逆に様々な病が生じてしまうからである。
 よって、よほどの高度な段階に到達し、かつ師からの指示や許可がない限りは、異性とのセックスを利用した方法に関しては、むやみに手をつけるべきではない。

 瞑想において実際にこのプロセスを速やかに生じさせるには、自らをイダムとして観想し、蓮華座を組み、頭頂の逆さのハム字に意識を集中するところから始める。そうしてこの頭頂のハム字のビンドゥを何とかして溶かし、ボーディチッタを体中に行きわたらさなければならないが、そのためには多くの直接的・間接的方法がある。それらは師からの口訣によって知るべきである。

6.サハジャの智慧を観想する方法

 サハジャの智慧を観想するには、前述のように、まず「順観」のプロセスで、頭頂から生じたボーディチッタを順次下に降ろしていって、性器の先端にまで到達させ、外に漏らさずに保持するとき、「サハジャの歓喜」が生じる。この時に、空の悟りに意識を集中することで、その至福と空が合一した「楽空無差別の智慧」が生じる。その楽空無差別の状態を、できるだけ長く維持する。
 しかしまだ空の悟りが堅固に生じていない場合は、単にその至福感のみに集中する。
 
 そして次に「逆観」のプロセスで、ボーディチッタが順次上に上がり、頭頂に達したとき、再び「サハジャの歓喜」が生じるが、そこでも同様に、「楽空無差別の智慧」または単に至福感のみに、できるだけ長い間集中する。

 瞑想を終えた後も、普段の日常生活において、瞑想によって経験した至福と空の経験を思い起こし、日常生活のすべての現われに、その至福と空の印を押すのである。

7.カルマムドラーによって観想することについて

 カルマムドラーとは、条件を備えた実際の女性である。つまり前述した、異性とのセックスを利用して観想する方法である。

 このためには、自分と相手の両方が、極めてすぐれた修行ステージに達し、密教の戒律を厳しく守り、一日四回の生起次第の瞑想によく熟達し、すぐれた空性の悟りがあり、四つの歓喜、特にサハジャの歓喜に精通し、自らのエネルギーをコントロールしてボーディチッタを漏らさないことができるなど、さまざまな定義を完璧にそなえていなければならない。
 このような定義を実際にそなえていないのに、傲慢にも自分には資格があると勘違いしてこの方法を行なうならば、それは悪趣・地獄に落ち、長い間にわたって苦しむる因となる。

 よってこのプロセスは、通常は、現実の女性ではなく、ヴァジュラヨーギニーなどのジュニャーナ・ムドラー(観想された女神)を観想し、その女神との合一の観想によって四つの歓喜を生じさせるのが良いのである。
 そうして前述のように、「サハジャの歓喜」のときに、「楽空無差別の智慧」に集中する。もしくはまだ空の悟りが堅固でないならば、ただその至福感のみに集中する。そうしてその強烈な精神集中を長く持続することによって、サマーディに没入するのである。

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