パドマサンバヴァの秘密の教え(122)「心を乱す感情に外れること」
☆心を乱す感情に外れること
四つ目、心を乱す感情によって誤った状態に外れることについて。瞑想の修習を維持しようとする人は、多くの敵と盗人(彼自身の妨げになる感情)に出くわすであろう。
これらは五つのカテゴリーに分類される。怒り、高慢、貪り、嫉妬、迷妄である。
これらの根から、あなたの瞑想の妨げになる八万四千の感情が生じる。
これらの五毒のそれぞれは、あなたを輪廻にさらに深く引き込む五つの妨げになる感情を伴う。
よって、それらによって心を掻き乱されないよう、一人子を探す母のような用心深さを持って気をつけなさい。
これらの感情を、まるであなたの膝の上に毒蛇を見つけたかのように放棄しなさい。
それらを認識して用心深く心に留めて、見解の修習の時と同じように修習しなさい。
このように修習しなければ、悪業が毎瞬毎瞬、生み出される。
ツォギャルよ、このようにして誤った状態に外れることを避けたければ、誠実さをもって正しく受け入れ、正しく拒絶することによって、五毒に対する巧みな闘いに挑みなさい!
いずれにせよ、見解と瞑想において一定の安定に到達しない間は、傷ついた鹿のように、孤独な境地へと避難しなければならない。
まるで毒蛇に遭遇したかのように、妨げになる感情から逃れなさい。
◎放棄の重要性
ツォギャルは再び尋ねた。
「秘密のマントラの修行者は、すべての心を乱す感情を道として捉えるべきではないのですか?」
師はお答えになった。
「もちろんそれらは道に持ち込まれるべきだ!
しかし、孔雀だけが、毒を餌にすることが可能なのである。
心を乱す感情を放棄することなく、道として捉える事が出来る者は、ウドゥンバラの花よりも稀少である。
最も優れた能力を持つ者にとっては、心を乱す感情は助けとして現れるが、より劣った能力を持つ者にとっては、毒となる。
この劣ったタイプの者にとっては、心を乱す感情を放棄する方がより重要である!」
「どれだけの放棄を行なったならばその者は熟練者となるのでしょうか?」
と、彼女は尋ねた。
師はお答えになった。
「あなたが、心を乱す感情と感覚的な喜びに執着しておらず、それらを魔的な妄想として経験するとき、そのときは、それらは害を及ぼすことがないので、心を乱す感情が生起しても抑圧するする必要はない。
それらが生起しないときは、あなたは期待から解放されているので、それらを生み出したいという欲求はない。
それが起こるとき、心を乱す感情は既に道に持ち込まれている。
まだ現実への執着を追い払わないうちに、心を乱す感情を道として利用しようと試みるのは、蠅が蜂蜜の中で動きが取れなくなってしまっていうようなものだ。
ツォギャルよ、このようにして、間違った状態へと外れてしまうことから切り抜けなさい!」