パドマサンバヴァの秘密の教え(12)「偽のタントラ行者」
◎偽のタントラ行者
師パドマはこうおっしゃった。
「ある人々は自分自身のことをタントラの修行者と呼び、『ありのままのふるまい』をしていると主張するが、彼らは偽のタントラ行者である。
大乗とは、平等な慈悲で一切の衆生を大切にすることを意味する。
偽のタントラ行者は、平等な慈悲を培うことをしないであろう。そして善を行ない、悪を避けることを否定するであろう――まだ善悪や苦楽を超越した境地などに至っていないにも関わらず。
真のタントラの修行者は、偉大な慈悲を養うことが必要なのだ。
たとえ秘密真言の修行者であることを主張したとしても、慈悲を生じさせることがなければ、それは誤った見解を持った外道なのである。」
◎秘密真言は大乗の道
師パドマはこうおっしゃった。
「秘密真言は大乗の道である。
大乗とは、他を利するということを意味する。
他を利するために、三身の成就に到達しなければならない。
三身に到達するために、功徳と智慧の二つの集積を集めなければならない。
二つの集積を集めるために、菩提心を修習しなければならない。
生成と完成の道を、一つの道として修習しなければならない。
どんな場合でも、菩提心を欠くタントラ行者は全く不適当であり、大乗を修行しないのだ。」
◎秘密真言と大乗は一つ
師パドマはこうおっしゃった。
「秘密真言とパーラミターヤーナは二つのものとして語られるが、究極的にはそれらは一つである。
見解や行為を欠けば、小乗の道へと巻き込まれる。
よって、行為で上昇しながら、見解で降りなさい。
これらの二つを一つのものとして修習することが非常に重要である。
これが私の口頭の教えである。」
秘密にせよ。
これで、「日々のふるまいによって上昇する教え」を完成する。
これは、ウサギの年、夏の最後の月の八日目に、チンプーの庵で、献身的に書きとめられた。
宝の封印をせよ。
秘密の封印をせよ。
委託の封印をせよ。
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