パドマサンバヴァの秘密の教え(116)「黄金の甘露の花輪」
4.黄金の甘露の花輪
偉大なる師、パドマサンバヴァに忠誠を誓います!
ウッディヤーナの蓮華から生まれたとして知られている彼は、過去・現在・未来のすべてのブッダの放射体であり、破壊されない全智のヴィディヤーダラである。
彼はティソン・デツェン王によってチベットに招かれた。
彼がチベットにとどまっている間、私ツォギャルは、配偶者として、また従者として彼に仕えた。
ショトのティト窟に滞在していた際、最も深遠な、他に勝るものがない心の偉大な完全性の意味に目を向けさせられ、私はそれを理解した。
私は仮説でなく直接体験としての見解を通して、ありのままの境地に帰着した。
驚嘆の念に駆られ、私、カルチェンの王妃はこう尋ねた。
「素晴らしい! 偉大なる師よ、心の精髄の秘密のマントラのすべての要点は、精髄、自性、潜在的な力の三つの原則に包含されるのですから、これらの三つが本筋から外れることはありますか?」
師はおっしゃった。
「ツォギャルよ、あなたがこれを尋ねたのは素晴らしいことだ。
最も深遠な心の精髄のすべての要点は、確かに精髄、自性、潜在的可能性に包含される。
そして、人がこれらの道から外れることがあるということを理解しなければならない。
これを説明するには、四つのポイントがある。
誤って外れる状態、
外れてしまったことの兆候、
その短所、
そして外れることの影響である。
◎精髄から外れること
一つ目は、精髄から外れてしまう状態である。
一般的に、精髄とは、単にあなたの非二元的な気付きの自然な状態─―無計画で、堕落していない、覚醒状態である。
原初から始まって今に至るまで、この覚醒状態はどんなものから作られたのでもない空の認識として留まる。
それとしてただ留まる代わりに、誰かが空を想像することを学ぶなら、彼は空を固定する概念的な態度をなくしてはいない。
ゆえに彼は「虚無的な空性」と呼ばれるものへと外れて行ってしまう。
誤って外れてしまったことの兆候は、「我々の上に仏陀などいない!」とか「我々の下に衆生などいない!」「何も存在しないのだからすべては空だ!」などと言明し始めることである。
このような誤った状態へ外れてしまうことのデメリットは、「すべては空である!」という概念的な思考である。
そのような態度はあなたに、帰依、純粋な識別智、菩提心、慈愛や慈悲やその他のすべての神聖な活動を放棄させてしまう。
代わりにあなたは世俗的な欲求の追求に巻き込まれる。
また、この態度は気まぐれに悪行に手を染める。
このように真実を曲解して行動する者は、ヴァジュラ地獄以外に行く場所はない。
善である真実を曲解したことで、そのような誤った空性の修習の影響は、極度なニヒリズム的な見解を持った者としての転生として現れる。
カルマの法則の真実を曲解したことで、苦難の大海でもがき苦しむ。
ツォギャルよ、空性を悟ったと主張する者が多くいるが、究極のありのままの境地を悟っているものはほとんどいない。
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