パトゥル・リンポチェの生涯と教え(86)
◎アラク・ドンガクへの助言
ラマ・ミパムとアラク・ドンガクとの論争が終わったあと、パトゥルは弟子であるアラク・ドンガクを傍に呼び、叱りつけた。
「わたしはおまえに慈悲と慈愛を瞑想するように言った! それなのに、おまえはそんな学者みたいな馬鹿げたことで頭をいっぱいにして!」
この鋭いお叱りに、アラク・ドンガクは、人前であったが、泣いた。
のちにパトゥルは、彼のために助言の言葉を書き綴った。
「あなたはまず、最高の条件を満たした導き手と出会い
放棄の念を起こし、ダルマに歓喜し
森林の隠遁地で今、瞑想している。
おお、わが幸運な友よ、あなたは本当に恵まれている!
わたしは素晴らしい師匠たちに出会ったが、彼らにしっかりと従うことができなかった。
学んできたダルマをすべて、心に適用してこなかった。
わたしは隠遁地に赴いたが、精進や不放逸を実践できなかった。
わたしがこのような老犬になってしまったというのは、心にまだ悪性が残っているということだ!
わが友よ、あなたはすべての幸福への道に旅立ったが
休むことなく精進と信仰を培いなさい。
慢心とプライドという悪魔に、常に用心深く警戒していなさい。
そうすれば、あなたの人生は幸せに終わるだろう――わかったかね?」
・・・・・・
口から虹のように現われた、これらの心からの言葉は、
愛しき同志の悲しみを払いのけるために
みすぼらしいアブによって、ディチュンの山の隠遁地で著された。
これらの真意が、明らかとなりますように!