バクティの精髄(13)
◎シュラヴァナ
シュラヴァナとは、至高者のリーラーを聞くことである。それには、至高者の御名および姿と結びついた、美点、栄光、遊戯、物語などが含まれる。
献身者は、神の物語を聞くことに夢中になり、彼の心は神の教えと一つになり、神以外のことについて考えることができなくなる。つまり彼の心は、この世間に対して一切の魅力を感じなくなるのだ。
そしてその献身者は、夢の中でさえも、ただ神だけが心に浮かぶようになる。
バクタは、偉大なる聖者である智慧深き師の前に座り、神の物語を聞くべきである。彼は批評やあら探しをせず、誠実な心でそれらを聞くべきである。バクタは聖典で説かれる理想に生きることに全力を尽くすべし。
シュリー・クリシュナは、ギーターの中でこうおっしゃっている。
タッドヴィッディ プラニパテナ パリプラスネーナ セーヴァヤ
ウパデークシュヤンティ テー ジュニャーナム ジュニャーニナー タットヴァダルシナー
「徹底した礼拝、奉仕、探求によって、『それ』を知りなさい。真理を知る智者は、君にその智慧を教えるであろう。」
人は聖者や賢者との交際なしに、シュラヴァナ・バクティを得ることはできない。ただ自分自身で学ぶだけでは、何の役にも立たない。それでは疑念が湧き起るだろう。疑念は、自分の力で簡単に解決できるようなものではない。経験のある者に、正しい道を説いてもらう必要がある。
シュリー・シャンカラーチャーリヤは、こう言っている。
クシャナマピ サッジャマ サンガティレーカ バーヴァティ バーヴァルナヴァ タラメー ナウカ
「賢者との交際は、それがたとえわずかなものであっても、輪廻の海を渡る船となる。」
サットサンガ(グルや法友たちと共に集い、教えを学ぶこと)がないと、修行は、完璧さや強さが欠けたものになってしまう。ゆえに、サットサンガの土台の上に、修行の砦を建設しなければならない。単に苦行をすることだけが修行(サーダナ)ではないのである。
サットサンガは献身者の中の輝きを増すと共に、不純物を除去する。そして彼は、微妙な真理のエッセンスをよくつかむことができる。
クリシュナはウッダヴァに、「サットサンガだけが、世界のすべての執着に終止符を打つことができるのだ」とおっしゃっている。
また「バーガヴァタ・マハートミャ」には、「この世界における最高のダルマは、至高者の栄光を聞くことである」と説かれている。それによって人は、神の世界に達するのである。
パリークシット王は、シュラヴァナを通じて解脱に達した。彼はシュカ・マハーリシから神の栄光を聞いたのだ。彼のハートは浄化された。彼は、ヴァイクンタにある主ヴィシュヌの世界に達した。彼は解脱し、至高なる至福を楽しんだのだ。
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