ニティヤーナンダの生涯(7)
◎ダンダ(出家者の持つ杖)とカマンダル(水瓶)の破壊
シュリーヴァスと彼の兄弟のラマイ・パンディトたちは眠りに落ちました。
ニティヤーナンダも横になってはいましたが、眠ることができませんでした。
彼はまだバーヴァ状態にあったのです。
夜更けに、彼は寝床から立ち上がり、月明かりの中で、自分のダンダとカマンダルを見つけました。
そして、空を裂くような雄叫びをあげると、それらを破壊してしまったのでした。
翌朝、ラマイ・パンディトは彼の部屋に行くと、床に転がっているダンダとカマンダルの破片を見て驚きました。
彼はそのことをシュリーヴァスに伝えると、マハープラブを呼びに行きました。
マハープラブはそれを聞いてやって来ました。
マハープラブを見るや、ニティヤーナンダは笑いながら雄叫びをあげました。
マハープラブは何も言わずに、壊れたダンダとカマンダルの破片を拾うと、ニティヤーナンダと信者たちを連れてガンガーに行き、その破片を河に投げ捨ててしまいました。
ニティヤーナンダは、その破片が河に流れてゆくのを見て、再び歓喜と共に踊り始めました。
そして今度は踊りながら、河に飛び込み、泳ぎ始めたのでした。
彼はワニが泳いでいるのを見つけると、そのワニを追いかけ始めました。
信者たちはこれを見て恐怖し、マハープラブはこう叫びました。
「シュリーパダ(ニティヤーナンダ)! 来てください! ヴィヤーサ・プージャの時間です。遅れてはだめですよ!」
この声を聞くと、彼は河から出てきました。
トリダンダ(杖)は、サンニャーサ(出家修行者)のまさに支えであり、しるしでありました。
その中には3千3百万の半神たちが住んでいるのです。
ニティヤーナンダはなぜそれを破壊したのでしょうか?
それに、なぜそれを破壊した後に、あのように喜んでいたのでしょうか?
そして、なぜマハープラブはそれを叱らなかったのでしょうか?
なぜそれを自らの手でガンガーに流したのでしょうか?
おそらくニティヤーナンダは、(シュリー・ゴウランガの姿の中に)自分が出家した目的であるクリシュナを見出したときに、サンニャーサに何の意味があろうか、と考えたのです。
その上、彼はおそらくプレーマの境地においては、ヴィディ・ニシェーダー[vidhi nishedha](すべきこととすべきことではないことに関する規定)が不必要であり、実行できないと感じていたのでしょう。
ガンガーで沐浴した後に、マハープラブは信者たちと共にシュリーヴァスの家に行きました。
シュリーヴァスはすでに、ヴィヤーサ・プージャの準備をすべて整えていました。
彼はニティヤーナンダをアーサナ(座)に座らせると、マハープラブの強い勧めに応じて、アーチャーリヤとして振る舞い、プージャを執り行い始めたのでした。
マハープラブと信者たちは、庭でキールタンを歌い始めました。
プージャが終わると、シュリーヴァスはニティヤーナンダに花輪を渡して、こう言いました。
「あなたは、ヴィヤーサデーヴァが喜ばれるよう、それを彼に捧げ、彼がその望みの目的を果たすお手伝いをしてください。」
ニティヤーナンダはその花輪を受け取ると、何かぶつぶつ言いながら、誰かを探し始めました。それを理解できるものは誰もいませんでした。
シュリーヴァスは庭に行って、マハープラブにこう言いました。
「こちらに来て、シュリーパダ(ニティヤーナンダ)をごらんください。彼は花輪をヴィヤーサデーヴァに捧げないのです。」
マハープラブはやって来て、こう言いました。
「シュリーパダ! その花輪をヴィヤーサデーヴァに捧げて、プージャを終わらせてください。」
ニティヤーナンダは立ち上がると、嬉しそうに踊りはじめ、踊りながらその花輪を投げてマハープラブの首にかけたのでした。
信者たちは「マハープラブ・キー・ジェイ!(マハープラブに栄光あれ!)」と叫びました。
このように、あたかもニティヤーナンダに強要されたかのように、マハープラブは六つの腕を持ち、その六つの手にはシャンカ(法螺貝)、チャクラ(円盤)、ガダ(棍棒)、パドマ(蓮華)、ハラ(鋤)、ムシャラ(すりこぎ)を持った姿を現しました。
ニティヤーナンダはその姿を見て意識を失いました。
マハープラブは、腕を脇の下に打ち付けながら、雄叫びをあげ、踊り始めました。
バーヴァが治まると、彼は愛を込めてニティヤーナンダを愛撫し、こう言いました。
「起きてください、ニティヤーナンダ。キールタンに参加してください。
あなたが化身した目的であるキールタンが、今行われていますよ。
それ以外にあなたは何を求めるのでしょうか?
もしプレーマ・バクティを広めたいなら、そうしてください。
それはあなたの宝物なのですから。
あなたが気に入った人に、それをあげるがよいでしょう。
あなたの慈悲なしでは、誰もそれを得ることはできないのです。
あなたが気に入った人は、私が気に入った人であります。
あなたの寵愛を味わわない人や、あなたに好感を抱いていない人は、バジャンをたくさん実践したとしても、私の恩愛も味わうことはないでしょう。」
ニティヤーナンダは意識を取り戻すや、眼から涙を流しながら、マハープラブを見つめました。
マハープラブは彼を抱擁し、二人は歌い、踊り始めたのでした。