ニティヤーナンダの生涯(3)
◎出家と巡礼
教えを学ぶことによって、クベーラは、現世の無意味さと永遠なる安穏、幸福に導く道について考えるようになりました。
彼の両親は、彼が世俗的なものすべてに対して全く無関心であることに不安を感じていました。
その頃、まるで何かの神事があるかのように、ハダイ・パンディトの家に長いドレッドヘア(ジャータ)で光り輝く顔をした背の高いサンニャーシ(出家修行者)がやって来ました。
ハダイ・パンディトとその妻は、彼に敬礼し、一晩家に泊まっていくように懇願すると、彼は二つ返事で承諾しました。
彼らは、できる限りのことをして彼に奉仕しました。
翌日そのサンニャーシは、出発する際にこう言いました。
「ねえ、私は巡礼中なのだよ。私は私に仕えてくれるあなたたちの息子のような少年を必要としている。
彼を私にくれたら、あなたたちは彼同様に祝福されるだろう。」
彼らはこれを聞いて唖然としました。
彼らはこう考えました。
「この愛しき息子を彼に差し上げたら、わわわれは死んだも同然だ。
しかし差し上げなかったら、このサンニャーシの怒りが、われわれの今生、そして来世を呪ってしまうだろう。」
彼らはどうしたら良いかわかりませんでした。
彼らは一旦家の中に戻り、慎重に検討し始めました。
しばらくの間、絶望と落胆の黒雲が、彼らの頭上を覆い続けていましたが、その次には神の光の光線が、彼らの広く敬虔な心の中にパッと閃光を放ったのでした。
彼らの心はすでに、主のご意思に明け渡されていたのです。
彼らは、クベーラが子供のころ、遊びの中でラクシュマナの役に没頭していたこと、そして夢の中でマハープルシャ(偉大なる魂)が、幾千もの罪人たちを束縛から救うであろう息子が彼らのもとに生まれるという予言をしたことを思い出したのでした。
彼らは、何か特別な目的を果たすために、主のご意思に従って何かが起こっているのだと感じ、もし自分たちが何かそこに障害を作ってしまったら、自分たちは主の御足に背き、罪を犯すことになると思いました。
ゆえに彼らは、そのサンニャーシの御足のもとに平伏し、眼に涙を浮かべ、感情で喉を詰まらせながら、喜んで彼にクベーラを捧げるという意志を告げたのでした。
ハダイ・パンディトは祝福されています。パドマヴァティーは祝福されています。
もし彼らがそのようにしなかったならば、どうしてニティヤーナンダが彼らの息子として誕生できたでしょうか?
クベーラは、そのサンニャーシの巡礼に同行しました。
彼らは共に、聖地から聖地へと渡り歩きました。
そしてその数年後、そのサンニャーシは姿を消したのでした。
それでもクベーラは巡礼を続けました。
ヴリンダーヴァンに行くと、彼の心はクリシュナへの愛に満ち溢れました。
彼はヴリンダーヴァンの森や庭、あずまやで、クリシュナを探し回ったのでした。
彼は時々、神の狂気に入って、あるときは笑い、あるときは泣き、またあるときは「ハー、クリシュナ! ハー、クリシュナ!」と叫びながら地面を転がって、意識を失うのでした。
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