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ド・キェンツェー・イエシェー・ドルジェの生涯(20)

 ド・キェンツェーは、カムの多くの地域に被害を与えているギェロンの悪徳な族長ゴンポ・ナムギェル(?~1865年)に会いに行きました。ある日、族長はド・キェンツェーにこう言いました。

「銃を持っているようだから、あのカラスを撃ってみな。」

 ド・キェンツェーは言われたとおりにカラスを撃ちました。すると族長はこう言いました。

「あなたは慈悲深い仏教徒であるはずなのに、動物を殺してるではないか。それはどういうことなのか?」

 ド・キェンツェーが自分の指をポキポキと鳴らすと、カラスは飛び去っていきました。族長は、

「何て銃なんだね。カラスでさえ殺せないなんて。」

と驚きました。

 別の日、彼らはともに雪の中を馬に乗っていました。ド・キェンツェーの馬は全く怯みませんでした。族長はこう言いました。

「おー、いい馬を持ってるね。どうだね、交換しようじゃないか。」

 交換すると、再びド・キェンツェーの乗っている馬が全く怯まなかったため、族長は、

「あんたは素晴らしい騎手だ。」

と賛嘆しました。ド・キェンツェーは、族長の心の内に賛嘆と安穏の両方の気持ちを湧き起こさせ、数多くの拘束された人びとを解放するのに一役買いました。

 あるとき、彼らがミニャクのシャク・ラ山脈にとどまっていると、山男がド・キェンツェーを運び去っていきました。彼は険しい岩山の中腹の洞窟に運ばれました。そこで彼は没頭状態に溶け込み、ヴィジョンに現れたダーキニーから、教え、予言、ならびに甘露を受け取りました。彼が没頭状態から目覚めると、見知らぬ者によって連れられて来た彼の妹や他の者たちが丘のふもとに到着して、彼の名前を叫んでいました。彼らがそこを上ることも、彼がそこを降りることも不可能でした。彼の友人たちは覚者たちやラマたちに一心に祈りました。すぐさま、彼は岩山のふもとに現れました。それから、彼は驚くべき印とヴィジョンとともに、ロンチェン・ニンティクとカンド・ヤンティクの伝授をしました。

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