ドドゥプチェン・ジグメ・ティンレ・オーセル1世の生涯(4)
しばらくするとドドゥプチェンの食料は尽き、長い間、お茶を除いてほとんど食べるものがありませんでした。彼の肉体は、病床にいる者のように衰弱しました。ほとんど動くこともできず、呼吸は重くなり、胸はうっ血しました。
ある日、水瓶が空になり、洞窟の外の池から水を汲むために外へ出ました。その帰り、洞窟へと上っているあいだに、水瓶の重みで倒れ、意識を失いました。少しして意識を取り戻し、立ち上がろうとしましたが、できませんでした。そのとき、ある考えが心に浮かびました。
「もはや死から逃れるすべはないようだ。さあ、どうしようか?」
そのとき、別の考えが心に浮かびました。
「悪行をおかしながら死ぬのなら悲しいが、しかし私はダルマの修行をしながら死ぬのだから、むしろ喜ぶべきだ。」
こう考えると、彼の内に喜びの感情が湧き起こり、その喜びによって、立ち上がる力が戻ってきました。彼は洞窟に戻ると、彼の荒々しい風の気性を静める薬として使うために取っておいた小さなツァンパを燃やして、その煙で自分自身を手当てしました。
その後、彼は小さいほうの瓶を取り、水を汲みました。お茶を淹れて飲みましたが、長い間、固形物を口にしていなかったので、お茶を口にすると、彼の身体は激しく震え、やっとのことでそれを静めました。
それから彼は、「ゾクチェン僧院へ行って、いくらか食料を手に入れたほうがよさそうだ。でないと、死ぬことになり、修行の道が絶たれるだろう」と考えました。洞窟を出て、丘を少し下りましたが、弱っていたため何度も倒れました。
立ち上がると、彼はこう思いました。
「ああ、なんて私は愚かなのだ。私の師は、私に修行するよう指示したのだ。師の指示に従うことが、私のすべき修行なのだ。外へ出て食べ物を探すことは、間違いだろう。たとえ死んだとしても、独居修行を終えるまで、私は決して瞑想場所を離れない。」
彼は洞窟に戻り、いつも通り瞑想を再開しました。しばらくすると、扉を叩く音がしましたが、修行していたので無視しました。修行の休憩時に、彼は扉のところにヨーグルトの瓶を見つけ、中へ持って入り、食べました。そのヨーグルトには特別な癒しの力があり、それによって彼は健康を回復しただけでなく、瞑想の助けを得ました。そのヨーグルトは、ダルマを守護する女神である長寿の姉妹ツェリンマによって彼に捧げられたといわれています。それ以来、その瞑想洞窟は、ツェリン・プク、ツェリンマの洞窟として知られるようになりました。
数日後、法友たちが彼のところに食料を持ってやって来ました。このときツェリンマが置いていったヨーグルトの瓶は、金メッキされた銅製のもので、ドドゥプチェン僧院のストゥーパに1950年代後半まで保存されていました。