yoga school kailas

ディーガーヴ

ソーターパッティ・サンユッタ

第三節 ディーガーヴ

 あるとき世尊は、ラージャガハの竹林にあるカランダカニヴァーパにとどまっておられた。

 一方そのとき、ウパーサカ(男性の在家信者)のディーガーヴは、病気で、苦しみ、重病であった。

 ただちに、男性在家信者のディーガーヴは、資産家の父ジョーティカに呼びかけた。
「資産家よ、ここへおいでください。あなたは世尊のところへ行ってください。世尊に近づいた後、私の名前で世尊の御足に頭で恭しく礼拝してください。
『尊師よ、男性在家信者のディーガーヴは病気で、苦しみ、重病にかかっています。彼は世尊の御足に頭で恭しく礼拝いたします』と。
 そして、このように言ってください。
『尊師よ、どうか世尊は真にご配慮の上、男性在家信者のディーガーヴのところに赴いてください』と。」
「そのようにしよう、息子よ。」
と、資産家のジョーティカは男性在家信者のディーガーヴに承諾した後、世尊のところへと行った。世尊に近づいた後、世尊に恭しく挨拶をして、一隅に座った。

 一隅に座った資産家のジョーティカは、世尊にこのことを言った。
「尊師よ、男性在家信者のディーガーヴは病気で、苦しみ、重病にかかっています。彼は世尊の御足に頭で恭しく礼拝いたします。そして、このように彼はもうしあげます。
『尊師よ、どうか世尊は真にご配慮の上、男性在家信者のディーガーヴのところに赴いてください』と。」
 世尊は沈黙によって同意した。

 ただちに、世尊は正装して、鉢と上衣を持って、男性在家信者のディーガーヴのところにおいでになった。行くと、用意された座に座った。座った後、世尊は実に男性在家信者のディーガーヴにこのことをおっしゃった。
「ディーガーヴよ、お前は果たして快方に向かっているか。果たして生命は維持されるか。果たして種々の苦しみの感覚は減り、全く増大せず、減少していることがハッキリと認められているか」と。
「尊師よ、私は快方に向かっていず、生命は維持されず、私の種々の強烈な苦しみは増大し、全く減らず、その増大がハッキリと認められ、減少は全くハッキリと認められません。」

「ディーガーヴよ、お前はこのように学ぶべきである。
『仏陀に対し、絶対の浄信をそなえた者となろう。
「かの世尊は、供養を受けるにふさわしいお方、完全な正覚者、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫(じょうごじょうぶ)、天人師、仏陀、世尊(バガヴァーン)である」と。
 ダルマに対し、絶対の浄信をそなえた者となろう。
「正しく説かれているダルマは、現実に利益があるものであり、直接的なものであり、『来なさい、見なさい』と言って招くものであり、追従に値するものであり、識別力のある者たちによって個々に知られるべきものである」と。
 サンガに対し、絶対の浄信をそなえた者となろう。
「世尊のシュラーヴァカのサンガはよく実践している。世尊のシュラーヴァカのサンガはまっすぐに実践している。世尊のシュラーヴァカのサンガは道理に従って実践している。世尊のシュラーヴァカのサンガは正しいダルマにのっとり日々を送っている。すなわち、四対の人々・八種の人々からなる、この世尊のシュラーヴァカのサンガは、敬われるべきであり、厚遇されるべきであり、供養に値し、合掌されるべきものである。そして、世界における無上の功徳の田畑である」と。
 立派な人によって愛され、聖なるものであり、穴がなく、悪趣に落ちないためのものであり、純粋で、煩悩から解放し、識別力のある者によって称賛され、煩悩に負けないためのものであり、サマーディをあらわしだすような種々の戒を具足しよう』と。
 まさにこのように、ディーガーヴよ、お前は学ぶべきである。」

「尊師よ、世尊は、これら四つの「流れへの到達の支分」を指示されました。それらのダルマは、私の中に存在し、私はそれらと共にあります。
 なぜなら私は、仏陀に対し、絶対の浄信をそなえているからです。
『かの世尊は、供養を受けるにふさわしいお方、完全な正覚者、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫(じょうごじょうぶ)、天人師、仏陀、世尊(バガヴァーン)である』と。
 ダルマに対し、絶対の浄信をそなえているからです。
『正しく説かれているダルマは、現実に利益があるものであり、直接的なものであり、「来なさい、見なさい」と言って招くものであり、追従に値するものであり、識別力のある者たちによって個々に知られるべきものである』と。
 サンガに対し、絶対の浄信をそなえているからです。
『世尊のシュラーヴァカのサンガはよく実践している。世尊のシュラーヴァカのサンガはまっすぐに実践している。世尊のシュラーヴァカのサンガは道理に従って実践している。世尊のシュラーヴァカのサンガは正しいダルマにのっとり日々を送っている。すなわち、四対の人々・八種の人々からなる、この世尊のシュラーヴァカのサンガは、敬われるべきであり、厚遇されるべきであり、供養に値し、合掌されるべきものである。そして、世界における無上の功徳の田畑である』と。
 立派な人によって愛され、聖なるものであり、穴がなく、悪趣に落ちないためのものであり、純粋で、煩悩から解放し、識別力のある者によって称賛され、煩悩に負けないためのものであり、サマーディをあらわしだすような種々の戒を具足しているからです。」

「それゆえ、ここでディーガーヴよ、お前はこの四つの流れへの到達の支分に立脚し、六つの明智に結びつけるダルマを養成するべきである。

 ディーガーヴよ、ここにお前は、あらゆるサンスカーラについて、無常であると次々と観察し、無常なものについて苦しみであると熟知し、苦しみにおいて無我を熟知し、捨断を熟知し、愛著を離れることを熟知し、滅尽を熟知しなさい。
 ディーガーヴよ、お前は全くこのように学ぶべきだ。」

「尊師よ、世尊は、これら六つの明智に結びつけるダルマを指示されました。それらのダルマは、私の中に存在し、私はそれらと共にあります。尊師よ、なぜなら私は、あらゆるサンスカーラについて、無常であると次々と観察し、無常なものについて苦しみであると熟知し、苦しみにおいて無我を熟知し、捨断を熟知し、愛著を離れることを熟知し、滅尽を熟知しているからです。
 尊師よ、しかしながら、私はこの資産家のジョーティカが、私が死んだ後、苦悩に陥らないことだけを願うのです。」

「よいかね、ディーガーヴ、お前はそんなことに思考を向けてはいけないよ。よいかね、ディーガーヴ、世尊の言葉だけを、お前は完璧に作意しなさい。」

 ただちに世尊は、男性在家信者のディーガーヴにこの教戒によって教戒して、座から立って歩み出した。

 ただちに、男性在家信者のディーガーヴは、世尊が去ってからほどなくして、死去した。

 さて次に、多数のビックたちは、世尊のほうへと行った。近づいた後、世尊に恭しく挨拶をして、一隅に座った。一隅に座った彼らビックたちは、実に世尊にこのことを申し上げた。
「尊師よ、世尊が要約した教戒によって教戒がなされた、かのディーガーヴという名の男性在家信者が逝きました。彼の行き先はどこでしょうか? 彼にはどのような来世があるのでしょうか?」

「ビックたちよ、男性在家信者のディーガーヴは賢者であった。彼は真理のダルマにのっとりダルマの実践を行い、そして真理のダルマの判断において私を悩ませなかった。
 ビックたちよ、男性在家信者のディーガーヴは、下方に結び付ける五つの束縛(五下分結)を完全に破壊した後、化生となり、そこで完全なニルヴァーナに帰し、かの世界から帰ってこないダルマの者となる。」

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする