ジグメ・リンパの生涯(6)
28歳のとき、彼は、ロンチェン・ニンティクのサイクル――ダルマカーヤとグル・リンポチェの教え――という並はずれた啓示を、心のテルマとして発見しました。
ラプジュン13世の治世の火の雄牛の年(1757)の10番目の月の25日目の夜、彼は、心の中にグル・リンポチェに対する耐えがたいほどの献身の情を抱きながら床につきました。目の前にグル・リンポチェがいないという悲しみから流れ出た涙が絶えず彼の頬を濡らし、止めどない祈りの言葉が彼の胸中でこだまし続けました。
彼は長い間、透明な照出という深い瞑想経験の中にありました。その輝ける透明性の中に没入しているあいだ、彼は、白いライオンの背に乗って空を遠くまで飛んでいきました。最終的に巡礼路に辿り着き、彼はそれをチャルン・カショルの巡礼路であると思いました。現在、それはネパールにある巨大かつ重要な仏教の記念碑、ボードナート・ストゥーパとして知られています。
ストゥーパの東側の中庭で、彼は智慧のダーキニ―の姿をしたダルマカーヤを目にしました。彼女は彼に美しい木製の宝石箱を託し、こう言いました。
「純粋な心を持つ弟子にとって、
あなたはティソン・ディツェンです。
不純な心を持つ弟子にとって、
あなたはセンゲ・レーパです。
これはサマンタバドラの心の宝、
リクジン・パドマ[サンバヴァ]の象徴的な言葉、
そして、ダーキニ―たちの大いなる秘密の宝です。
以上がサインのすべてです。」
ダーキニ―が消えた後、大いなる歓喜を感じながら、彼は宝石箱を開けました。その中には、7つの水晶の数珠とともに5巻の黄色い巻物が入っていました。はじめ、その文字は読めませんでしたが、間もなくチベット文字に変わりました。その巻物の一つは、アヴァローキテーシュヴァラの成就法ドゥグ・ンガル、もう一つはロンチェン・ニンティク・サイクルの予言的な手引書ネチャン・トゥッキィ・ドムブでした。また、教えの守護者の一人であるラ―フラが彼の前に現れて、敬意を表しました。
別のダーキニ―に促されながら、ジグメ・リンパはその黄色い巻物と水晶の数珠をすべて飲み込みました。すぐさま彼はロンチェン・ニンティク・サイクルのすべての言葉がその意味とともに、まるで刻み込まれるかのように心の中で目覚めるという驚くべき経験をしました。
彼はその瞑想経験から覚めた後でさえ、生来的な覚醒の悟り、つまり至福と空性の大いなる結合の中にとどまっていました。
このようにして、ロンチェン・ニンティクの教えと悟りが、何世紀も前のグル・リンポチェによって彼に託され、封印されて、覚醒し、そして彼はテルトン――ロンチェン・ニンティク・サイクルの教えの発見者になりました。彼はネチャン・トゥッキィ・ドムブから始めて、徐々にロンチェン・ニンティク・サイクルの教えを言葉に変えていきました。
-
前の記事
ジグメ・リンパの生涯(5) -
次の記事
ヴァイラーギャ・マーラー(放棄の花輪)(15)