シュリー・チャイタニヤ・マハープラブ(25)
【プラヤーガにて】
旅の途中、チャイタニヤ一行を強盗集団だと疑ったパサン族のイスラム騎兵が、彼らを拘束すると言って脅しました。しかし主のひと触れによって、彼らはクリシュナの熱狂的信者へと変容しました。パサン族の一人はラームダースとなりました。パサン族は全員がヴァイラーギ(出家修行者)となり、パサンヴァイシュナヴァとして知られるようになりました。
チャイタニヤはプラヤーガに10日間滞在し、毎日聖なるトリヴェーニで沐浴をして、ヴェーニ・マーダヴァ寺院で歌い踊りました。滞在中、トリヴェーニから7マイル離れたアーラリ村で、彼はプスティ・マールガのヴィシュヌ派学校の有名な創立者と面会しました。
ここで再び彼はルーパとサナータナに会い、指導をおこないました。二人はプレーマ・バクティのチャイタニヤの教義の哲学的システムを系統立てた最初の使徒でした。この二人の博学な男達は貴族の家系の出身で、ベンガルのイスラム君主の大臣でしたが、チャイタニヤの恩寵によって彼らはその任務から解放され、クリシュナ・プレーマを求めて彼の御足の下に集まったのでした。最初に解放されてプラヤーガのチャイタニヤの元にやってきたのはルーパでした。チャイタニヤは、彼が教会の未来の主導者であることに気付き、多くのヴィシュヌ派の基本教義をルーパに授けました。
【ルーパ・ゴースワミーへの教え】
チャイタニヤがルーパ・ゴースワミーに与えた教えは、次のようなものでした。
「クリシュナへの真の信仰は、宇宙の中で最も稀なものである。
この輪廻の中で、無数の魂が、840万もの生を通り抜けてきた。
その中には、生命体と非生命体がある。
生命体には、鳥、獣、水棲生物など無数の種類がある。その中で、人間に生まれる者は、ごくわずかである。
人間の中でも、野蛮な者や、極度に世俗的な心を持った者が、大部分を占める。
そしてわずかな人々のみが、神を思う。
神を思う者たちの中で、多くの者たちは儀式的な宗教行為に献身し、一部の者だけが叡智に献身する。
そして叡智に献身する百万人の中でも、ほんのわずかな者たちだけが解脱を得、さらに解脱を得た者の中の百万人に一人だけが、クリシュナへの真の信仰を見いだす。
ゆえに、クリシュナの真の信者は、欲望がなく、平静なのである。
他の者たちが、楽、解脱、あるいは霊的な力を切望する一方、クリシュナの信者は完全なる無私の精神で、身体、心、魂を通した心からの『彼』への奉仕のみを欲する。
単に解脱を求める者たちや、自己中心的な達成を望む者たちの心の中には、決してクリシュナへの真の愛は生まれない。
バクティの修練から、熱意が生まれるのだ。
その熱意が深まると、それはプレーマと呼ばれる。」
「プレーマが育つにつれて、それは順に、スネーハ、マーナ、プラヤナ・ラーガ、アヌラーガ、バーヴァ、そしてマハーバーヴァと呼ばれる。」
「クリシュナへの信仰心と、エゴの欲望の征服は、すべての信仰者の印である。
シャーンタの信奉者の執着は、無臭の花のようだ。彼は至高なる魂、神格として、神の本質の実在の感覚だけを得る。
ダーシャのムードはより一層良く、一切の力の主としてクリシュナを認識することを開発する。彼は、彼の神格の感覚、彼への敬意、賛嘆を持って彼に仕えることで、彼を絶えず賛美する。それにはシャーンタに加えて奉仕という美点がある。
サキャ・ラサにはその美点に加えて、クリシュナへの絶対なる信頼がある。その奉仕には、信頼、そして畏怖の念に阻害されることのない自然な友情という性質がある。これは前者二つを含む、三つの性質を持っているのである。
ヴァーツァリャ(親の愛)においては、上記の三つの性質に『優しさ』が加わる。その信者は、クリシュナのことを愛する子とみなし、そして自分のことを親であると見る。
このように四つの性質があり、それらはまるで甘露のようである。
マドゥラのムードにおいては、上記のすべての性質があり、それらに加えて、そのタイプの信者は愛人としてクリシュナに奉仕し、彼に自分自身を捧げる。
そしてこれらすべての性質は、アートマ・サマルパナ(自己の完全な明け渡し)の形で、独特の様相に統合されるのである。」