yoga school kailas

シュリー・チャイタニヤ・マハープラブ(13)

【プリーに到着、そしてサルヴァバウマの改宗】
 
 その後、ブワネーシュワルを抜け、チャイタニヤはプリーから6マイル離れた、寺院塔が見えるバーグリ河に到着しました。彼はクリシュナがその寺院の頂上から手招きしていると感じ、その直後に恍惚状態になり、ゆっくりとした動作で踊り、叫び、笑いました。このような調子で彼はプリーまでの6マイルの間に大勢の仲間を作ったのでした。

 プリーに到着し、チャイタニヤは寺院内に入ると、神の彫像は寺院職員が厳重にガードしており誰も立ち入れないという信者の説明も無視して、ジャガンナート像を抱擁するために警備を突破しました。狂ったように突進して途中で転んでしまったチャイタニヤを懲らしめようと、怒った警備員が近づいていくと、背丈のある立派な、いわば信者を守るために神によって送られたブラーフマナがあらわれ、それを阻止しました。その人物は他でもない、当時のオリッサを支配していたプラターパルドラ王の招待を受けてナヴァディープからやってきたヴァースデーヴァ・サルヴァバウマ教授でした。チャイタニヤも、ナヴァディープにいた頃、サルヴァバウマ教授の生徒でした。この偉大なパンディットは、この若い出家修行者に不思議な魅力を感じ、生徒たちに彼を家まで運ばせました。チャイタニヤのほんの少しの影響で、皆に信仰的情熱のうねりが起きました。全員が恍惚状態に入ってハリ・ボロを叫び踊る姿を見て、教授は感動をおぼえました。サルヴァバウマは学者であり伝統的正統派の信者でしたが、内実はバクタではなく、この時点ではなんとか信仰心をたよりとしてチャイタニヤの御足に触れたのでした。

 彼の学識のプライドは、十分な証明がないままこの若い出家修行者を評価することに疑問を呈しましたが、彼はチャイタニヤとその信者達に、手厚いもてなしをしました。そして教授は、チャイタニヤの歌や踊りの信仰の情熱は逸脱した奇行に過ぎず、チャイタニヤは出家修行者になるには若過ぎるという理由を述べて、今は自分の下でヴェーダーンタを学んだほうが良いと助言しました。チャイタニヤはその提案を謙虚に受け入れました。

 ある日のこと、サルヴァバウマ教授は、ヴェーダーンタのいくつかの節に対するシャンカラの解説の、非常に学術的な説明をしていました。しばらくして教授は若い出家修行者・チャイタニヤにその解釈が理解できるかと聞くと、チャイタニヤから、ヴェーダーンタの書物は簡単に理解できるが、シャンカラの解釈は不合理に思えて言葉さえ理解できない、という衝撃的な答えが返ってきました。

 サルヴァバウマの学識に対するこの挑戦は、ディベートにおいて無敵であると自負していた教授に大きな衝撃を与えました。その後、教授が九つの意義を添えたバーガヴァタからの一節について、チャイタニヤはその解釈の中の誤りを指摘した後、より多くの意義を詩に添えました。学識に慢心はあったものの偏見のなかった教授は、この若い出家修行者の明晰さと説得力を知り、チャイタニヤが指導を必要としていないことを理解しました。チャイタニヤは、自分はヴェーダマーヤー(あらゆるヴェーダの智慧)であり、ヴェーダは自分にとって遊び道具のようなものであると言明し、ヴェーダはプレーマとバクティを説いたものであり、もったいぶった味気ない論法ではないのだと言いました。

 自らの専門分野で敗北したサルヴァバウマは、降参し、チャイタニヤの足下に平伏しました。起き上がった彼が若い苦行者の代わりにそこに見たものは、六本の腕を持つ神でした。二本の腕には弓と矢を持ち、もう二本の腕で横笛を奏で、残りの二本で托鉢用の杖とお椀を持っていました。その光景を見たサルヴァバウマは恍惚としたサマーディの境地に入りました。サマーディが過ぎると、神の姿があった場所には若い物乞いが立っているだけでした。学者はラーマとクリシュナが今度は物乞いとして転生したのだと理解しましたが、それでもなお、彼はまだ自分が体験したことは全て幻覚だったのではないかとしつこく疑念を抱いていました。

 翌日の早朝、主は寺院での礼拝のあと、捧げ物の食べ物を持ってサルヴァバウマの部屋のドアをノックしました。主は教授と共に座り、捧げ物の食物を教授に勧めました。朝のサンディヤー・ヴァンダナと沐浴の前に食事をとることは、ブラーフマナの固い慣習に逆らうことでしたが、教授は神のための最も神聖な規則さえも破り、主の命令に従う覚悟でした。

 プレーマ・バクティの法則を、ラーダーはこのように歌っています。

「ねえ、愛しいお方の横笛に、私は引き寄せられるのです。行かなくては。
 もし誰かの言うことが気になるなら、私に近づかないでください。犠牲なくして、愛するお方のおそばには行けません。彼を切望するのなら、最初にあなたのすべてを彼に明け渡さねばならないのです。」

 サルヴァバウマは、この明け渡しを実行しました。そしてチャイタニヤ(主)が彼を抱擁すると、サルヴァバウマは恍惚状態に入りました。通常意識を取り戻すと、彼はハリの御名を唱え、ダンスと共にバクティの祝福に酔いしれました。学者としてのプライドを完全になくしたサルヴァバウマは、主に平伏した後、主を崇める長い詩を即興で作り、朗唱しました。普通の男性に見えるチャイタニヤが実は神であることを悟り、頑固な論理学者は、チャイタニヤのひと触れによって、柔らかなバクティの波に浸りました。彼の改心はプリーの全学者界の、チャイタニヤへの敬虔な崇拝への改宗を意味していました。最終的にはサルヴァバウマの後援者でありカリンガの君主であったプラターパ・ルドラも、チャイタニヤの偉大さに敬意を表すためにたびたび訪れるようになりました。チャイタニヤのプレーマ・バクティの洪水が、クリシュナ賛歌と共に徐々にオリッサ全土に広がっていきました。
 サルヴァバウマが見た6本腕の神の像は、プリーの寺院に現存しています。

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