グル・バクティヨーガ 補遺(9)「グル・クリパー(グルの恩寵)を得る方法」⑦
この要点を例を上げて説明すると――地位を失った王子が、自分が王子であることを忘れ、放浪しているうちに、自らの父の前に偶然現れて、乞食の意識で怖気づいて立っている。
彼が尋ねた精一杯のことは――「夜に雨風をしのげる小屋をお与えください。昼には食べ物をお与えください」というものだった。
そして彼はそれを得た。
もしこの王子が「自分は王国の相続者である」と気づいていたら――彼は王国すべてを要求しただろう。
そんな食べ物や小屋などは要求しなかったであろう。
彼は王のところまで行き、こう言ったであろう――「おお、父上! 私を王にしてください。私に相続財産を与えたまえ。」
同様に、われわれはまず第一に、自分は不死なる存在である。自分はサチダーナンダの中にあるという意識を、自分の中に開発しなくてはならない。
そうして、われわれはグルにサチダーナンダ意識を求め、グルはそれを与えることができるのだ。
最後に、われわれはさらにもう一つの要因を考慮に入れなくてはならない。
誰かがその王子に、彼は王子であるということを教えていたら、彼は父の所へ行ってその地位を要求し、おそらく彼が未成年であったら、王はこう言っただろう――『わかった、お前に宮殿をやろう。成人したら、お前はこの地位と王国を得る資格を得るだろう』と。
そうだとしても、そこには神の恩寵を十分に、効果的に受けるために必要な、ある内なる資格がある――それを得られるまで、弟子は待たなければならない。
ゆえに、理想的な弟子の資格をすべて得たように見えても、われわれは謙虚に忍耐強く待たなければならないのだ。
われわれは、神の光の洞察によるヴィジョンでのみ見ることができる完成の境地を、不当に自分のものとすることはできない。
霊性の領域における忍耐と謙虚さは、何十年という期間にわたって持たねばならないものである。
われわれは必要であれば、グルの家の前で、一生、犬のように待たなければならない。
そこには何の損失もない。
なぜならば、そのゴールは不死の命であり、自由であるからだ。