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クンサン・ラマの教え 第一部 第三章「輪廻の苦しみ」(4)

3.動物

 動物には二種類ある。海に住む動物と、様々な場所に住む動物である。

海に住む動物:海は、魚、亀、貝、虫などの生き物にあふれている。彼らはみな、計り知れない苦しみを経験する。大きな生き物はより小さな生き物を飲み込む。大きな生き物の中には多くの小さな生き物が寄生している。また、全く太陽の光が届かない暗闇に住んでいる生き物もいる。彼らは迷妄ゆえに、何をなすべきで何をなすべきでないかを理解できない。

様々な場所に住む動物:動物は常に迷妄と使役される苦しみにさいなまれている。
 特に野生動物は常に恐怖に脅かされている。多くの天敵がいて、お互いを捕食し、常に他の動物や猟師などによる命の危険にさらされている。鷹は小鳥を食べ、小鳥は虫を食べるといった、殺し殺される連鎖が終わりなく続くため、悪しき行ないが積み重ねられることになる。
 人間に飼いならされた動物はとても愚かなので、手に刃物を持った屠殺者が近づいてきても、目を大きく見開いて見つめるだけで、逃げることを考えようともしない。搾乳され、重い荷を積まれ、去勢され、鼻輪をされ、耕作用のくびきをかけられる。奴隷状態が永遠に続くのに、逃げることはない。馬やヤクは重い荷を積まれ、人に乗られ、背中には大きな痛みしか感じない。歩けなくなると鞭で打たれ、石で叩かれる。
 牛や羊は死ぬまで酷使される。年を取ると、売られるか、飼い主によって殺される。
 動物は、筆舌に尽くしがたい苦しみを味わう。動物が苦しんでいるのを見たら、自分がその立場になったと想像しなさい。動物に生まれ変わったすべての者たちを、強い慈悲を持って瞑想しなさい。
 もし自分が飼っている動物がいる場合は、優しく慈愛を持って扱いなさい。なぜなら、すべての動物は、ほんの小さな虫に至るまで、喜びと苦しみの感情を持っており、また、かつては自分の父や母であったことがあるからである。動物への慈愛と慈悲をはぐくみなさい。

 三悪趣のどこに生まれ変わっても、あらゆる種類のひどい苦しみに長くさいなまれ続ける。そこに生まれた者は、愚かで無智であり、ダルマについて考えることがないため、さらに三悪趣に生まれるための原因だけを作ってしまう。よって、一度三悪趣に生まれると、抜け出すことは難しい。
 過去世においてわたしたちは、三悪趣に転生することにつながる多くの行ないを積み重ねてきた。それゆえ、過去の悪行を真摯に後悔して懺悔し、これからは決してしないと誓わなくてはいけない。
 そのような世界にいる者たちのことを大いなる慈悲を持って考え、過去・現在・未来の善行の果報を彼らに回向しなさい。彼らが悪しき世界から解放されるように、次のように祈りなさい。
「今わたしは大乗のダルマに出会い、自分と他者を真に救う道を修行する機会に恵まれている。わたしは勇気を持ってあらゆる困難を克服し、三悪趣に住むすべての者たちを、ブッダの浄土に導きます。」
 このように考えて菩提心を培い、師と諸々の仏陀に祈り、「師と三宝の祝福により、この目的を達成します!」と考えなさい。

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