カル・リンポチェの生涯(6)
◎独房修行
ラマ・ノルブ・トンドゥプの指導のもと、カル・リンポチェは三年間の独居修行に入った。
彼はラマ・ノルブ・トンドゥプから、シャンパ・カギューの系統のアビシェーカ、 儀式の読誦、 および解説について完全なる伝承を授かった。この独居修行の時期に、通りすがりのラマたちからも他の多くのアビシェーカを授かった。そして独居修行を完了したのち、カル・リンポチェは故郷へと帰り、それから二年間、多くの偉大なラマたちから教えとアビシェーカを受け続けた。そしてその後、彼は誰にも居場所を告げずに、人里離れた場所で完全な隠遁者として生きることを決意したのだった。
カル・リンポチェの父親は、有名な医師であった。カル・リンポチェは隠遁生活に入るに至るまでは――ツァドラ・リンチェンドラでの最後の三年間を除いて――植物の採取や治療の準備を行なって、医業を営む父親をずっと手伝っていたのだが、それ以後はすべての医療行為を完全にやめた。
カル・リンポチェの隠遁の地は、たいてい普通の人は一日としてそこに留まることができないような不毛の地であった。例えばラドゥン・プの洞窟(大きく開口していて絶えず風が吹き抜けている洞窟)――暗闇に妨げられて見えなかったが、そこにはさまざまな昆虫も生息していた――などである。どのようにしてそのような生活に適さない悪環境で暮らすことができたのだろうか? カル・リンポチェは、そういった場所に何年間も住した。
だが、困難な場所で暮らすことが、必ずしも体系的な目的ということではない。ときどき彼は、家畜の群れを放牧している家族の家の近くの心地の良い場所で、テントの下で過ごすこともあった。
また数年の隠遁生活の間、食物について一切心悩まされることなく、一見すると時折、長い間何も食べずに過ごしていたようであった。
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