「鳥のダルマの素晴らしき花輪」より(11)
続いてコクマルガラスが立ち上がり、首を三度かしげてから、「クーキュン、クーキュン」と鳴きました。これは「クー、捨てなさい」という意味です。
「いつまでも終わりのない活動が続くこの世界を捨ててしまえればいいのにね。クーキュン。
疲れ果てさせるだけの活動へ駆りたてる欲望を捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
身の程知らずのご立派な説教なんて捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
みごとな言葉に悪意を隠す扇動の言葉は捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
自分のものでない美しい物を欲しがる気持ちを捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
成功を求めて信心のこもらないお祈りをしている心なんて捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
責任を引き受けるのは嫌なくせに、立派な人でいたいと思う虚栄心なんて捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
聞く気もないのに講義に出ようとする惰性は捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
野生の熊もあきれるほど怒りもあらわな言い争いを捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
偽善にすぎない宗教の習慣なんか捨ててしまえばいいのにね。クーキュン。
この世には捨てなければならない行ないがいっぱいあることを、僕はこの目で見てきたよ。」