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「解説『バクティヨーガ・サーダナー』」第二回(2)

 次、「昼間に眠ること」。あの、この昼間に眠ることっていうのは、もちろんこれはねえ、場合によります。場合によるっていうのは、まあ皆さん知ってるあのラーマクリシュナの弟子のアドブターナンダね。彼は、まあ昼間寝てたって話があるからね。まあ彼の場合は、つまり夜寝なかったと。まあ夜型というよりは、つまりその、時間関係なかったんだね。時間の概念がなかったと。だから食事時間も毎日違ったっていうんだね。食事時間も違うし、寝る時間も毎日違うと。だからその、時計見て、「ああ、何時だからこうしよう」という概念が全くなかったと。
 もちろんね、この前提は、当然、神に心が向かい、あるいは修行意欲に燃えてるわけですから。で、なんていうかな、まあもうちょっと具体的に言うと、神で心がいっぱいであると。で、ひたすらできるだけ修行したいと。ですから、ある意味限界まで寝ないわけですね。限界まで寝ないけども、まあやっぱりちょっと限界が来ると。そしたらまあ少し寝ると。こういうパターンね。この場合はもちろん、昼間寝てかまいません。まあ皆さんの場合は、働いている場合はそういうのは難しいでしょうけども、もし皆さんが働いてないとか休みのときとかで、「よし、寝ないぞ」と。修行し続けると思って修行してて、もう限界になってふらふらになって、まあさすがにちょっと休もうか――それが昼間だろうが夜だろうが、それはもちろんかまわないよ。うん。
 で、こういうことやってると――ちょっと話が広がるけど、あの、当然、自律神経が狂ってきます。でも、本当の意味でのわれわれが解脱をするときっていうのは、あの、自律神経がおかしくなんなきゃおかしいです。なんでかというと、自律神経というのは、その、人間としての普通の生命活動を保つための神経だから。あの、前から言ってるけどね、ヨーガのプロセスっていうのは、まず現代人っていうのは悪い意味で自律神経がボロボロです。ボロボロっていうか、バランスが非常に悪い。で、これがヨーガ修行によって生命活動が整ってきて、で、自律神経が整いだすんだね。つまり正常な健康な人間になる。ここまではオッケーなんだけど、ここから先に行こうとしたら、つまり、「よし、じゃあわたしは人間を超えて神になろう」と、あるいは「解脱しよう」という段階になったら、今度はまた自律神経が狂いだします。で、まあなんというかな、まあある意味、例えば体の不調が出るかもしれない。まあよくあるのは、例えば便秘になったりとか、あるいは、そうだな、まあ不眠症になったりとか。まあ肉体のいろんなその、機能がちょっとおかしくなるときがあるんだね。これは別に悪いことじゃないんです。人間を超えようとしてる。まあ、それにまだわれわれの意識がついていってないからちょっとおかしいと思うだけであって。
 はい。だからそのような修行してるときはオッケーです、もちろんね。あの、全くその時間の概念にとらわれず、あるいは観念にとらわれずにひたすら修行すると。で、限界が来たら――まあもちろん奉仕でもいいけどね――ひたすら奉仕をし、ひたすら修行をすると。で、限界が来たらちょっとだけ寝ると。
 あとね、あの、チベット仏教というか密教では、まああの、光のヨーガとか夢のヨーガっていう、睡眠を利用した修行ってあるわけだけど、これもね、あの、長い睡眠は駄目だって書いてあるんだね。これはどういう意味かというと、つまり単発でちょっとだけ寝るんです。それをまあ一日数回繰り返すということだね。例えばあの、夜一時間ぐらい寝てすぐ起きて、で、まあ修行すると。で、数時間後にまた寝るかもしれないけど、また一時間くらいで起きるとかね。まあちょっと普通の人でいったら、まさに不眠症みたいな感じですけども。こういうふうなのがいいんだと言われている。でも、これももちろん、修行に――一日中修行できる人の場合ですけどね。この場合も当然、こういうことやってると自律神経狂ってくるんですけども、普通の意識状態じゃない、ちょっとこう深い意識状態に入ってくる。はい。この場合はオッケーですが、そうじゃなくて、あの、まあわれわれみたいに、あるいは皆さんみたいに、会社に行かなきゃいけないとか、普通のこう日常サイクルがある場合、まあある程度はその、もちろん夜しっかり寝ないと次の日仕事ができないという場合は、まあ例えば、夜しっかり寝ると。このような規則正しい生活を送っているときは、まあもちろん昼間は寝ない方がいいね。うん。昼寝してしまうと、まあつまり必要以上にタマスが増え、あるいはアパーナ気が強まります。
 睡眠の弊害というのは、まあ一つはタマス――無智のエネルギーが増大すると。で、もう一つはアパーナ気、つまり気が下がるわけですね。で、これによってわれわれの意識自体がちょっと混沌とするっていうか。あるいはその、気が下がるので、当然下の方の煩悩が出やすくなるわけですね。
 あの、さっき言ったことと、ちょっと逆になりますが、われわれの自律神経というか普通のわれわれのその生命システムっていうのは、当然、夜は寝ると。それが普通なんだね。あの、夜になるとわれわれのその――まあ中医学的に言うと津液っていうんですけども、津液と呼ばれる、われわれのその生命活動や意識をスローダウンさせるエネルギーが増大し、まあつまり休みの時間に入るわけですね。あるいは例えばアーユルヴェーダでいうと、昼間というのは、お昼とかっていうのは、いわゆるピッタが増大し、それによって火のお腹の炎が燃え上がり、それによってまあ食物を消化するのに最も適してると。だから――これは皆さんにすすめるわけじゃないですけども、普通――普通のっていうか、オーソドックスな生命活動的に言うならば、食事は昼食中心がいいです。昼食中心ね。それがそれによって、十分に食物が消化され、まあなんていうかな、余分なく、つまり「ア―マ」と呼ばれるその無駄な排泄物が出ることなく、十分に栄養として体に吸収されると。しかしそうじゃない、例えば夜とかに食事をとり過ぎたりすると、未消化物が増えて体とか精神に害を及ぼしますよと。そして夜というのは、さっき言ったように、津液が増大し体を十分に休める準備が整うので、その時間しっかり休むことによって、十分にわれわれのその昼間の活動がちょっとこう休息を経て、またリフレッシュされますよと。だから普通にただ健康になりたかったら、まあそのようなセオリーに則って生きればいいですね。
 で、まあ食事時間は別にしてもその、睡眠に関しては何度も言うように、社会のシステムとして夜寝るようになっているので、これはまあしょうがないっていうよりは別にそれはそれでかまわない。でもその場合は、さっき最初に言った、不特定時間に寝るっていうやり方は当てはまらないので、その場合は、夜しっかり寝た場合は、まあ昼間は寝ない方がいいね。
 もう一回言いますと、昼間寝るっていうよりは、睡眠時間増えすぎると、あるいは夜しっかり休んでるのに、そうじゃない時間に睡眠という状態に入ると、タマスが増大し、あるいはアパーナ気が増大し、われわれの意識が下がり、まあちょっと余計な煩悩が出てしまうっていうのがありますね。

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