「昼間の準備修行」
◎昼間の準備修行
【本文】
昼間の修行において、三宝を供養し、イダムに供物をささげ、睡眠の光明を保つことと、それへの障害を取り除いてくれることを祈願する。
そして自分をイダムとして観想し、またグルヨーガを行ない、睡眠の光明を保つ祈願を何度も行なうべきである。
これも準備段階ね。まず、昼間の段階においてこういうことをしなさいと。こういう感じでしっかり修行して夜の準備をしなさいということですね。
◎光のヨーガの寝方
【本文】
実際に寝るときには、頭を北に向けて、右わきを下にして横になるライオンの寝方をする。自分をイダムとして明らかに観想し、心臓に四枚花弁の蓮華を観想し、その中央に青いフーム字を観想する。
「実際に寝るときには、頭を北に向け」――頭を北に向けるっていうのは、日本ではよく北枕っていわれて良くないっていわれるけど、仏教とかでは、あとチベットとかでは、いい寝方とされるんだね。で、おもしろいことに、その理由はどっちも実は同じなんです。なぜかというと、「お釈迦様が寝るときに頭を北に向けて寝た」っていわれてるんだね。で、日本人はそれを否定的にとって、だからそれは縁起が悪いって言うんだけど(笑)――じゃなくて仏教の伝統では、それが最高の寝方っていわれてる。で、それにエネルギー的な根拠があるかどうかは分からない。つまり北っていうのは北極があるから、そういう磁場の影響とかで、そういうのがあるのか、もしくは単純にお釈迦様がそうだったからっていう意味でいってるのかは分からないけど、まあ伝統的にはそういわれるんですね。
わたしも偶然……北枕かな、今、多分(笑)。よく寝てるのは。でもまあ、あんまり気にしなくていいと思う。うん。例えばベットが南向きだった場合ね、「北枕だ」って言って、無理やり逆に寝る必要はない。でももし自分である程度操作できるんだったら、北枕がいいですよと。
そして右わきを下にして寝るね。これもまあ仏教で――これもね、二つ意味があります。ひとつは、これもお釈迦様が死ぬときにそうやって死んだんだね。つまりこういう感じですね。右手を枕にして、こういう感じで――まあリアルに言うとね(笑)、右手を枕にして、で、左右の足を重ねる感じです。こういう感じです。こういう感じで寝るんだね。こうしてお釈迦様は死にましたと。
で、それだけではなくて、その寝方の方が――つまり密教的に、あるいはヨーガ的にいうとね、人間の体っていうのは右と左の気道がありますよと。で、右の気道っていうのはラジャス。つまりわれわれを活発にする気道なわけだね。で、左の気道っていうのはタマス。つまりわれわれの心とか体をスローダウンさせる気の流れですね。で、寝てるときってどうなりますか? つまりタマスに偏りがちだよね、当然ね。つまり非常に停滞した意識状態になりやすい。それは当たり前なんだけどね、寝てるんだから。で、右わきを下にするっていうことは――これは一つの説だけど――つまりわれわれは肉体を持ってる以上、重力の影響を受けるんです。あと血流ね。血流と気の流れってとても関係があります。つまり右わきを下にすることによって、血流とかがグーッと右側に集中します。で、気の流れも右側に集中しやすくなります。つまりちょっと活発なエネルギーが動き出す。つまりそれでバランスがとれるんだね。つまり寝てるんだけど、鮮明な意識を保ちやすい。だから左を下にして寝ると、逆にかなりタマスになります。よく寝る。
実際ね、実は――みなさんどうしてるか分からないけど、わたしはほとんど右わきを下にして寝ます。もしくは仰向けどっちかですね。でもまあ七、八割はこうやって寝ます。でも実はですよ、実は、本当のこと言うと、わたしは左を下にした方が好きなんです。よく寝れるんです(笑)。でもそれはタマスだって分かってるから、無理やり右で寝てる(笑)。
みなさんも実験したらいいかもしれない。こういうこと言うと――やっちゃ駄目だけど、よく寝たかったら左を下にした方がいい(笑)。でもそれは無智になります。だから右を下にした方がいい。「いや、実はうつ伏せで寝てます」っていう人も中にはいるかもしれない。それは餓鬼の寝方です。餓鬼に堕ちます(笑)。実際そうなんだね。まあわたしはそれはね、多分ね、わたしの経験で言うと、お腹のチャクラに気が集まるからだと思うね。お腹のチャクラは餓鬼の世界と繋がってるので――つまり餓鬼っていうのは、低い霊的な世界です。だからうつ伏せでばっかり寝てると、ちょっとそういう悪い低い霊の世界と繋がりやすくなる。だからあんまり良くないね。だから寝るんだったら、ヨーガみたいにシャヴァ・アーサナで仰向けで寝るか、もしくは仏教的に右わきを下にするか、そのどちらかがいいと思います。まあもしくは頭陀的にね、座って寝るでもいいよ、もちろん。椅子とかでね。あるいは座法を組んで寝るっていう人がいたら、それはもう最高だけどね。横になるんだったら右わきを下か、仰向けがいいですね。
はい、そしてその姿勢のまま「自分をイダムとして明らかに観想し」――あの、もう一回言うけども、今から説明する内容も、これは現実にこれが完璧にできるのは相当高い段階です。しかしまだみなさんは、そこまでいっていない真似っこの段階だけども、これをやることのメリットはあります。これはこれでみなさんの修行を進めてくれるので、やりたい人はこれもやったらいいと思う。だってどうせ寝るでしょ? どうせみんな寝るわけだから(笑)、だったらその時間を利用して、こういうのやるとやらないとでは、やった方いいね。
もちろんこの前の方で夢のヨーガっていうのもあったよね。そっちでもいいです、もちろん。この夢のヨーガとか、光のヨーガの真似事にね、ちょっと寝るときにチャレンジしてみるっていうのは、まあいいことだと思うね。
はい。で、「自分をイダム」――イダムっていうのは、つまり神様ね。仏教とかヨーガのいろんな神に、自分が変身したっていうふうにまずイメージすると。そして「心臓に四枚花弁の蓮華を観想し、その中央に青いフーム字を観想する」と。
◎二つの観想法
【本文】
そして残りの四つの花弁にも種字を観想する方法と、観想しない方法がある。
前者の方法においては、まずア字に心を向け、眠り始めたときにヌ字に心を向けることによって、第一の空である「輝く光」があらわれる。次にタ字に心を向けることによって、第二の空である「増大する輝き」があらわれる。次にラ字に心を向けることによって、第三の空である「成就間近」があらわれる。次にフーム字に心を向けることによって、第四の空である「一切空」があらわれる。
後者の方法においては、ただ中心のフーム字にのみ集中する。
これは技術的な話ですけど、つまり二つやり方がありますよと。一つはフームだけじゃなくて、その四つの花弁に「ア・ヌ・タ・ラ」という四つの文字を観想し、その一つ一つに集中していくやり方ね。で、もう一つはそういう面倒くさいやり方じゃなくて、ただフーム字だけをイメージし、ひたすらそのフームに集中しながら睡眠に入るというやり方。で、これは実際、もしみなさんやりたかったら、フーム字だけでいいです。ただフーム字を観想し、それにひたすら集中する。で、眠りに入るというかな。それがいいと思います。
◎堅固なサマーディの経験
【本文】
これはどちらのやり方をとってもかまわない。
ただし、昼間に堅固なサマーディの経験がないと、睡眠の空を保つことは難しい。
これはもう「えー!?」って感じだけどね(笑)。つまり、「昼間に堅固なサマーディ」、本当にもう確固とした、はっきりした、しかも持続的なサマーディを経験してないと――つまりここまでいっておいてね、でも昼間にしっかりサマーディ経験しないと難しいよって(笑)。「えー!?」って感じなんだけど。
でもさっき言ったように、もう一回言うけども、でも別にサマーディに入れてない人でも、それはそれでメリットがあります。だからやりたかったらやったらいい。
あの、ここでいうサマーディっていうのは、中間ぐらいのサマーディのことだと考えたらいい。あのね、サマーディっていう言葉ってとても広いんです。よくサマーディとか三昧とか使われるけど、本当の本当のサマーディっていうのは――ちょっとこういうこと言うとあれかもしれないけど――本当の本当のサマーディっていうのは、聖者でもそんなにしょっちゅう入れません。一回でも入れればそれはものすごいことだね。本当のサマーディっていうのはつまり究極的なね、サマーディね。じゃなくて、多くの場合、多くの人が「ああ、サマーディだ」とか言ってるのは、非常に初歩的なサマーディなんだね。初歩的なっていうのはつまり、言ってみれば深い意識に入りましたと。で、この深い意識の中にもいろんなレベルがあるわけだけど。で、それを非常に広い意味でサマーディといってる。
じゃなくて、ここでいってるサマーディっていうのは、もうちょっと深い。でもその究極的なところまでは行っていないサマーディですね。それは例えば仏教でいう「四つの静慮」とかね。ああいう世界。つまり例えば――まあこれは何回か言ったけど、一つのそのバロメーターとして、素晴らしい光――これはさっき言った本質的な最後の光ではないけども、素晴らしい光が生じ、ものすごいエクスタシーが生じ、そして心がピタッと止まる段階ね。例えばね。これが非常に純粋さを増していくっていうかな。こういったサマーディ。あるいは、ここに書いてあるような四つの空ね。四つの空っていうのは、まず白い光が登場し、赤い光が登場し、そして暗闇に入り、そして透明な光が登場するっていうプロセスがあるわけだけど、こういうのを経験するとかね。こういった経験っていうのは、ものすごく結構大変だけども、でもまあ頑張れば何とかできる経験ですね。
で、こういったサマーディを昼間にしっかり堅固にすると。つまり堅固にするっていうのは、確定させるっていうかな。で、それができてる人にとっては、睡眠のときにフーム字に集中すれば、簡単にその境地に入れますよということだね。
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