「三本の気道」
◎三本の気道
はい、ではこれから今日の話に移りましょう。このあいだはちょっと話しすぎてしまったというか、皆、食傷気味というか、そんな感じがしたので、もう少しゆっくりと行きたいと思います。
この間はエネルギーの上昇と甘露が落ちるまでのプロセスについて中心的に話しましたが、クンダリニー・ヨーガの周辺的な現象って沢山あるので、そういうのもいろいろ話していきたいと思います。
まずこのあいだ話した、背骨にスッとスシュムナーって言う道があるわけですが、その左右に道があるわけですね。
はい、これはT君、何ていう名前ですか? 知ってます? 右と左にある道。
(T)イダーとピンガラ?
そうだね。
イダー、これが左の道ですね。
右の道を、ピンガラ。
ピンガラ気道は別名スーリヤ気道といいます。
(S)スーリヤは、太陽。
太陽ですね。で、左は? チャンドラ気道ですね。これは月の気道ですね。で、チベット仏教ではちょっと体系が違うんだけど、チベット仏教とかインド密教というかな、インド密教とかチベット仏教の世界ではちょっとまた名前が違ってて、右の気道がラサナーといいますね。チベットでは、チベット語だと、左がキャンマとかいうんだよね。キャンマ。右がロマか。中央管がウマ、右がロマ、左がキャンマです。
(S)ウマはそのまま「中」ですよね。ウマパとかいいますもんね、中観派のこと。
そう。中央管がチベットでウマ。インド密教ではアヴァドゥーティと言うんです。アヴァドゥーティ。これは語源はよく分からないけど。ま、ヨーガではスシュムナーですね。
でも例えばスシュムナーとアヴァドゥーティは実は違います。それはまた後で言うけども。
この3つの道がありますよと。
このあいだはこの真ん中の道を中心に話しましたが、実際はこの真ん中の道にエネルギーが入るということは修行を相当……相当というかある程度進まないと起きない現象で、普通の人間は絶対右か左。っていうかどちらも使っているんだけど、右か左に偏ってます、大体。
ヨーガの基礎的な話でもよく話しますが、右のこの気道っていうのは交感神経系です。現代的にいうとね。左が副交感神経系ですね。
つまり交感神経っていうのは我々の心身をハイにする神経ですね。あるいは活動的にする。
副交感神経っていうのは我々の心身をリラックスさせる。悪く言えばちょっと鬱的にするっていうかな、神経ですね。
つまり、スーリヤとチャンドラってすごく分かりやすいね。スーリヤは太陽、チャンドラは月なんで、我々の体を熱してくれて活動的にする太陽のような気道が右の気道ですよと。我々の体を、ま、月ってインド人とかは冷やすというイメージがあるんだね。涼しい月、というようによく表現するけど、月のように我々を冷やしてくれて我々の体をスローダウンさせる。まあ、これは実際副交感神経が活発になると体は冷えるんです。いわゆる女性の冷え性とか、あと低血圧とか、これは副交感神経系のイダー気道が強い人のパターンですね。右気道系というのは、まさにCさんみたいな感じで、いつも熱いと。カッカカッカしてると。そういう感じは右気道系ですね。
はい、それでチャクラがこう中央管に、真ん中にあるわけですが、この左右の気道っていうのはチャクラに沿って交差して描かれるんだね。
チベット的な言い方だと、この左右の気道がいくつかの部分で中央管に巻きついているんだね。巻き付いているから、その巻き付いている部分がチャクラなんだっていう言い方をするんだね。ただしその巻きついているこいつだけがイダー・ピンガラなのかというと、まあ、いろんな表現とかから類推するとね、実際はこれだけじゃなくて、いろんな形の、右側を走っている重要な気道があって、全体を右側がピンガラー、左がイダーって考えたほうがいいかもしれないね。中央気道も実はそうなんです。それは後で言いますが、中央気道も何種類かあるのを全部何か総称して中央気道とか言っているけど、ま、実際はいろいろある。だから右と左もいろいろあるけど、これについてはあんまり覚えなくてもいいかな、って感じはしますね。
チベットとかではちょっとめんどくさいのか、あまりこういう風には描かずに、単純に平行に描く場合もある。瞑想でもこういう感じに瞑想することも多い。巻きついているというよりは、単純に左右を走ってると。これは事実がどうかということよりも、瞑想でやる時というのはそれによって生じる、それをイメージすることによって生じる効果をねらっているので、あんまりその、実際には巻きついているのかどうかというのは考えなくていいかもしれない。
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