「ヴィヴェーカーナンダ」(15)
ある日、ラーマクリシュナはナレーンドラを枕元に呼ぶと、彼をじっと見つめながら、深い瞑想に入りました。するとナレーンドラは、電流にも似た名状しがたい力が自分の中に入ってくるのを感じ、徐々に意識を失っていきました。
ナレーンドラが再び意識を取り戻すと、ラーマクリシュナは涙を流していました。そしてナレーンドラにこう言いました。
「おお、ナレーンよ。今日私は、自分の持っているすべてをお前に与えた。今、私は無一物のファキール(乞食僧)に過ぎない。お前に授けたその力で、お前はこの世の偉大な仕事を成し遂げなさい。そのときまでお前は、生きてきたその源に帰ることはないであろう。」
そしてラーマクリシュナの死の二日前、ナレーンドラはラーマクリシュナの枕元に立って、心の中でこう思いました。
「師は本当に神の化身なのだろうか。もし師が死ぬ間際に、自らは神の化身であると宣言したならば、私は師の神性を受け入れるだろう。」
するとラーマクリシュナはゆっくりと唇を開き、こう言いました。
「なあ、ナレーン。お前はまだ納得していないのかね? かつてラーマやクリシュナとして生まれた者が、ラーマクリシュナとして、まさにこの肉体の中に生き続けている。
だが、お前のヴェーダーンタの見地から言っているのではないよ。」
こうしてラーマクリシュナは、死の間際にハッキリと、自分が至高者の化身であることをナレーンドラに明かしたのでした。
そしてその二日後、1986年8月16日、ラーマクリシュナはマハー・サマーディに入り、その生の肉体を捨てたのでした。
ラーマクリシュナの死の一週間後、ナレーンドラは兄弟弟子の一人とともに、庭を歩いていました。すると突然目の前に、光り輝くラーマクリシュナの姿が現われました。ナレーンドラはそれを自分の幻想だと思い、何も言わずに黙っていました。
しかし一緒にいた兄弟弟子が、驚きのあまりに叫びました。
「見てごらん、ナレーン! 見てごらん!」
兄弟弟子も同じヴィジョンを見ていたことがわかって、ナレーンドラは、本当にラーマクリシュナその人が光り輝く姿で現われたのだと確信しました。
師が現われたと、ナレーンドラが他の弟子たちも呼んできた時には、もうその姿は消え去っていました。
つづく