yoga school kailas

「ラーマクリシュナーナンダ」(2)

◎師への奉仕の権化

 シャシは優秀な学生でしたが、神の道において進歩するに従い、徐々に大学での勉強に対する興味は薄れてきました。彼の鋭い知性と強健な肉体、そして堅実な性格は、神の悟りという一つの壮大なテーマにのみ集中し始めました。

 ある日彼は、カーリー寺院の境内で、ペルシャ語の本の勉強に集中していました。ラーマクリシュナは用事を言いつけるためにシャシを呼びましたが、本に夢中になっていたシャシはそれに気づきませんでした。ラーマクリシュナが四度目に呼んだとき、シャシはやっと気づいて、師のもとに行きました。
 ラーマクリシュナに「何をしていたのか?」と聞かれ、シャシが「本に夢中になっていました」と答えると、ラーマクリシュナは、
「勉強のために自分のつとめを忘れるようでは、おまえはすっかり信仰をなくしてしまうだろう。」
と、穏やかに注意しました。その言葉を聞いたシャシは、そのペルシャ語の本を手に取ると、ガンジス河に投げ込みました。そしてそのとき以来、彼の中で、本から学んだ知識はほとんど重要視されなくなりました。

 あるとき、ラーマクリシュナに咽頭癌が見つかり、カルカッタで療養生活に入りました。そして後に、より環境の良い、コシポルのガーデンハウスに移りました。
 ラーマクリシュナがカルカッタで療養しているときは、カルカッタに住む多くの信者たちが代わる代わる師の世話をしに来ていました。しかし次に移ったコシポルはカルカッタから遠いので、自らの生活をなげうって泊まり込みで師の世話をする信者たちが必要になりました。
 そのころシャシは、文学士の最期の学期にあり、試験が目前に迫っていました。シャシは、学業を取るか、師への奉仕を取るかの選択を迫られましたが、ためらうことなく、全身全霊で師に奉仕しようと決心しました。
 シャシはまさに、『奉仕の権化』でした。もちろん他の弟子たちも師への奉仕に全力を傾けましたが、シャシのそれは特に際立っていました。彼は休むことを知らず、また他の自分の修行のことも気にかけませんでした。グルへの奉仕のみが、彼の人生で唯一の関心事だったのです。
 彼はそのような休みなき奉仕に耐えうるだけの強健な肉体に恵まれており、そしてそれ以上に強い心を持ち、その強い心は、グルへの愛と信仰によって絶えず支えられていました。師の地上における存在の最期の瞬間まで、できる限りの最高の奉仕をしようという熱意において、シャシは疲れを知りませんでした。

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